【結論】本調査のポイント
結論から言うと、銀杏を拾って手がかぶれるのはギンコール酸による接触皮膚炎であり、アレルギーとは異なる刺激性の反応です。山芋で口のまわりがかゆくなるのは、シュウ酸カルシウムの針状結晶による刺激性接触皮膚炎が大半で、食物アレルギーとは区別する必要があります。食べ物でかぶれた場合は皮膚科を受診し、原因物質の特定と適切なステロイド外用薬による治療を受けることが重要です。
・秋の味覚(銀杏・山芋・マンゴー等)で手や口のまわりがかぶれた経験がある人は全体の38.7%
・銀杏拾いで手がかぶれた経験者の67.2%が素手または薄手の手袋で作業していた
・食べ物によるかぶれで「何科を受診すべきかわからない」と回答した人は64.3%
用語解説
■ 接触皮膚炎とは
接触皮膚炎とは、皮膚に何らかの物質が接触することで生じる炎症性の皮膚疾患である。原因物質に触れた部位に限定して、赤み・かゆみ・水ぶくれなどの症状が現れる。刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎の2種類に大別される。
■ 刺激性接触皮膚炎とは
刺激性接触皮膚炎とは、原因物質の化学的・物理的刺激により、免疫反応を介さずに直接皮膚に炎症が生じる疾患である。銀杏のギンコール酸や山芋のシュウ酸カルシウムが代表的な原因物質であり、誰にでも起こりうる反応である。
■ ギンコール酸とは
ギンコール酸とは、銀杏の外種皮(果肉部分)に含まれるアルキルフェノール類の化合物である。ウルシに含まれるウルシオールと化学構造が類似しており、皮膚に触れると接触皮膚炎を引き起こす。銀杏かぶれの主要な原因物質として知られている。
秋の食材による接触皮膚炎の比較

※一般的な目安であり、個人差があります。
皮膚科・形成外科を専門とする医療法人社団鉄結会アイシークリニック(新宿院・渋谷院・上野院・池袋院・東京院・大宮院)は、秋の味覚である銀杏・山芋・マンゴーなどによる接触皮膚炎(かぶれ)の実態を把握するため、全国の20~60代の男女300名を対象にアンケート調査を実施しました。秋は銀杏拾いや旬の食材を楽しむ季節ですが、これらの食材に触れることで手や口のまわりがかぶれるケースが多発します。本調査では、食べ物によるかぶれの経験率や対処法の認知度を明らかにし、正しい知識の普及を目指します。
調査背景
秋になると、公園や神社で銀杏を拾う方や、旬の山芋・マンゴーを楽しむ方が増える一方で、「銀杏を拾ったら手がひどくかぶれた」「山芋を食べたら口のまわりがかゆくなった」といったご相談が当院でも増加します。これらの症状は接触皮膚炎と呼ばれるもので、食物アレルギーとは異なるメカニズムで発症します。しかし、両者の違いを正しく理解している方は少なく、適切な対処ができていないケースが散見されます。本調査は、秋の食材による接触皮膚炎の実態を把握し、正しい予防法と対処法を広めることを目的として実施しました。
調査概要
調査対象:秋の味覚(銀杏・山芋・マンゴー等)を食べる、または触れる機会がある全国の20~60代の男女
調査期間:2026年9月14日~9月23日
調査方法:インターネット調査
調査対象人数:300名
調査結果
【調査結果】秋の味覚で「かぶれた経験あり」は約4割、予想以上に多くの人が経験
設問:秋の味覚(銀杏・山芋・マンゴーなど)に触れたり食べたりして、手や口のまわりがかぶれた経験はありますか?

約4割の方が秋の味覚でかぶれた経験があることが判明しました。食べ物によるかぶれは多くの人にとって身近な問題であり、正しい知識と対処法の普及が重要であることがうかがえます。
【調査結果】銀杏拾い経験者の約7割が素手または薄手の手袋で作業、かぶれリスクを認識せず
設問:銀杏拾いをしたことがある方にお聞きします。銀杏を拾う際にどのような手袋を使用しましたか?

銀杏拾い経験者の67.2%が素手または薄手の手袋で作業しており、ギンコール酸によるかぶれのリスクを十分に認識していないことがわかります。銀杏の外種皮は薄手の手袋では浸透する可能性があり、厚手のゴム手袋の使用が推奨されます。
【調査結果】山芋で「かゆくなった経験あり」は過半数、最も身近な食材かぶれ
設問:山芋を触ったり食べたりして、手や口のまわりがかゆくなった経験はありますか?

山芋で手や口のまわりがかゆくなった経験がある人は合計56.3%と過半数を超えており、最も身近な食材かぶれであることがわかります。山芋のシュウ酸カルシウムは針状結晶のため、皮膚を物理的に刺激してかゆみを引き起こします。
【調査結果】かぶれの対処は「水で洗い流すのみ」が最多、適切な治療を受けた人は2割未満
設問:食べ物で手や口のまわりがかぶれた場合、どのように対処しましたか?(複数回答可、最も当てはまるもの1つ)

食べ物でかぶれた際に皮膚科を受診した人はわずか17.0%にとどまり、多くの人が水で洗い流すのみの対処や、自然治癒を待つ対応をしていることがわかりました。症状が強い場合は適切なステロイド外用薬による治療が必要です。
【調査結果】食べ物かぶれで「何科を受診すべきかわからない」が6割超、受診科の周知が課題
設問:食べ物で手や口のまわりがかぶれた場合、何科を受診すべきか知っていますか?

食べ物によるかぶれで何科を受診すべきかわからない人は64.3%と、6割以上を占めることが判明しました。接触皮膚炎は皮膚科で診断・治療を行う疾患ですが、食べ物が原因であるため内科やアレルギー科と考える方もいるようです。正しい受診先の周知が必要です。
調査まとめ
本調査により、秋の味覚(銀杏・山芋・マンゴーなど)で手や口のまわりがかぶれた経験がある人は約4割にのぼり、特に山芋では過半数がかゆみを経験していることがわかりました。また、銀杏拾いの際に適切な手袋を使用していない人が約7割を占め、予防意識の低さが浮き彫りになりました。かぶれた際の対処についても、皮膚科を受診した人は2割未満にとどまり、何科を受診すべきかわからない人が6割を超えるなど、正しい知識と対処法の普及が急務であることが明らかになりました。
医師コメント|アイシークリニック 高桑康太医師
皮膚科医として15年以上の臨床経験から申し上げると、銀杏・山芋・マンゴーによるかぶれは食物アレルギーと混同されやすいですが、その多くは刺激性接触皮膚炎であり、免疫反応を介さない別のメカニズムで発症します。この違いを理解することが、正しい予防と対処の第一歩です。
秋になると、銀杏拾いや旬の食材を楽しむ方が増えると同時に、「手がかぶれた」「口のまわりがかゆい」というご相談が増加します。これらの多くは接触皮膚炎であり、原因物質に触れた部位に限定して症状が現れるのが特徴です。
銀杏の外種皮に含まれるギンコール酸は、ウルシオールと化学構造が類似しており、ウルシかぶれと同様の強い皮膚炎を引き起こします。症状は接触から数時間~2日後に現れ、赤み・強いかゆみ・水ぶくれを伴います。一方、山芋のシュウ酸カルシウムは針状結晶のため、皮膚に物理的な刺激を与えてチクチク感やかゆみを生じさせます。これは誰にでも起こりうる刺激性の反応であり、食物アレルギーとは異なります。
日本皮膚科学会の接触皮膚炎診療ガイドラインでは、原因物質の除去と回避、および症状に応じたステロイド外用薬の使用が推奨されています。症状が強い場合や広範囲に及ぶ場合は、内服薬による治療が必要になることもあります。
「食べ物でかぶれた」という経験をされた方は、自己判断で市販薬を使用するのではなく、皮膚科を受診して原因物質の特定と適切な治療を受けることをお勧めします。パッチテストにより原因物質を特定できれば、今後の予防にも役立ちます。
【エビデンス】日本皮膚科学会の接触皮膚炎診療ガイドラインでは、接触皮膚炎の診断にはパッチテストが有用とされており、原因物質の特定と回避が治療の基本とされています。皮膚科医としての臨床経験では、秋の食材によるかぶれは適切な予防措置により防げるケースがほとんどです。
食材別の予防ポイント
・銀杏拾い:厚手のゴム手袋を着用し、外種皮に直接触れない
・山芋:酢水に浸してから調理する、または手に酢をつけてから触る
・マンゴー:皮に触れないよう注意し、皮をむく際は手袋を使用する
かぶれた場合の正しい対処法
・まずは患部を水でよく洗い流す(石鹸は使用可)
・強くこすらず、清潔なタオルで優しく拭く
・症状が強い場合は皮膚科を受診する
すぐに皮膚科を受診すべきケース
・水ぶくれが多数できた場合
・症状が広範囲に及ぶ場合
・3日以上経過しても症状が改善しない場合
高桑 康太(たかくわ こうた)医師
皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
・ミラドライ認定医
臨床実績(2024年時点、累計)
・皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上
・腋臭症治療:2,000件以上
・酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
略歴
・2009年 東京大学医学部医学科 卒業
・2009年 東京逓信病院 初期研修
・2012年 東京警察病院 皮膚科
・2012年 東京大学医学部附属病院 皮膚科
・2019年 アイシークリニック 治療責任者
監修領域:皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
よくある質問(Q&A)
Q1. 銀杏を拾ったら手がかぶれたのはなぜ?
A. 銀杏の外種皮に含まれるギンコール酸が原因で、ウルシかぶれと同様の接触皮膚炎が起こります。
銀杏の果肉部分(外種皮)にはギンコール酸というアルキルフェノール類が含まれており、これがウルシに含まれるウルシオールと化学構造が似ているため、ウルシに触れたときと同様の強い皮膚炎を引き起こします。今回の調査では、銀杏拾い経験者の67.2%が素手または薄手の手袋で作業しており、かぶれのリスクを認識していない方が多いことがわかりました。銀杏拾いの際は、必ず厚手のゴム手袋を着用してください。
Q2. 山芋で口のまわりがかゆくなるのはアレルギー?
A. ほとんどの場合はアレルギーではなく、シュウ酸カルシウムによる刺激性接触皮膚炎です。
山芋に含まれるシュウ酸カルシウムは針状の結晶構造をしており、皮膚に触れると物理的に刺激を与えてチクチク感やかゆみを引き起こします。これは誰にでも起こりうる刺激性の反応であり、食物アレルギーとは異なります。調査では56.3%の方が山芋でかゆみを経験しており、非常に一般的な現象です。ただし、全身に蕁麻疹が出る、呼吸が苦しいなどの症状がある場合はアレルギーの可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。
Q3. 食べ物でかぶれたときは何科に行けばいい?
A. 食べ物によるかぶれ(接触皮膚炎)は皮膚科を受診してください。
調査では64.3%の方が「何科を受診すべきかわからない」と回答しましたが、食べ物によるかぶれは皮膚科で診断・治療を行います。食べ物が原因であっても、皮膚に症状が出ている場合は皮膚科が専門です。皮膚科では、パッチテストにより原因物質を特定し、症状に応じたステロイド外用薬などの適切な治療を行います。かぶれた際に皮膚科を受診した人は調査でわずか17.0%でしたが、症状が強い場合は我慢せず受診することをお勧めします。
Q4. 銀杏かぶれと山芋かぶれの違いは?
A. 発症メカニズムが異なり、銀杏はアレルギー性、山芋は刺激性の接触皮膚炎が主です。
銀杏のギンコール酸によるかぶれは、化学物質に対する感作(アレルギー反応)を介して発症するため、一度かぶれた人は再度触れると同様または更に強い反応が起こります。一方、山芋のシュウ酸カルシウムは物理的な刺激によるものなので、誰にでも起こりうる反応です。銀杏かぶれは接触後数時間~2日で発症し水ぶくれを伴うことが多いのに対し、山芋のかゆみは触れた直後~数分で現れ、多くは軽度で短時間で収まります。
Q5. 食材かぶれを予防する方法は?
A. 食材ごとに適切な予防措置を講じることで、かぶれはほとんど防ぐことができます。
銀杏拾いでは厚手のゴム手袋を必ず着用し、外種皮に直接触れないようにしてください。調査では21.6%の方しか厚手のゴム手袋を使用していませんでした。山芋は調理前に酢水に浸すか、手に酢をつけてから触ることでシュウ酸カルシウムの結晶を溶かし、かゆみを軽減できます。マンゴーは皮にウルシ類似物質が含まれるため、皮をむく際は手袋を使用するか、他の人にむいてもらうことをお勧めします。
放置のリスク
・かぶれを放置すると色素沈着が残り、跡が消えにくくなる
・掻きむしることで症状が悪化し、細菌感染(とびひ等)を合併するリスクがある
・銀杏かぶれは重症化すると広範囲に水ぶくれが広がり、全身症状を伴う場合がある
こんな方はご相談ください|受診の目安
・水ぶくれが多数できた場合
・かゆみや赤みが3日以上続く場合
・症状が広範囲に広がっている場合
・市販薬を使用しても改善しない場合
・過去に同じ食材で強い反応が出たことがある場合
クリニック案内
アイシークリニックの特徴
・皮膚科・形成外科の専門医療機関として、接触皮膚炎の原因検索などの診療可能 ※新宿院一般皮膚科のみで対応
・都内5院・大宮院の計6院体制で、平日夜間・土日祝日も診療可能
・皮膚炎の症状に応じた適切な外用薬・内服薬の処方が可能 ※新宿院一般皮膚科のみで対応
・監修医師は15年以上の臨床経験を持ち、皮膚トラブル全般に対応
アイシークリニック新宿院:東京都渋谷区代々木2-5-3 One-葵ビル2階
アイシークリニック渋谷院:東京都渋谷区渋谷3-16-2 ニュー三水ビル5階
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