屋外アート展「埼玉会館エスプラナード展2026 恢復-KAIFUKU-」が現在、埼玉会館(さいたま市浦和区高砂3)で開催されている。主催は埼玉県芸術文化振興財団。
同展は、建築家・前川國男が設計した同会館の屋外広場「エスプラナード」が会場。7回目の今年は、同会館創立100周年記念事業として位置付ける。テーマの「恢復(かいふく)」は、高度経済成長期に前川が表現した「都市空間に人間性を取り戻す」という思想に着想を得た。9人の作家が彫刻やインスタレーションなどの作品を展開する。
展示作品には、同会館の建物や周囲の環境から着想を得たものもあり、広場の各所に点在している。通りに面した場所には、木片を組み合わせ、象の頭を持つ神を表現した石上城行(いわがみしろゆき)さんの「記憶の庭-ガネーシャが泣いている-」を展示。通りかかった親子が「石上さんの作品だ」と声を上げ、作品の前で記念撮影していた。
同会館の陶製タイルの隙間に色とりどりのスポンジを差し込む山本麻世(あさよ)さんの「すすぎわすれ」は、来場者も自由にスポンジを動かしたり、加えたりできる参加型の作品。このほか、柳井嗣雄(つぐお)さんは真紅に染めた麻繊維を重ねた「赤い記憶-終わりなき抗争」、田中千鶴子(ちづこ)さんは白い立体物をつり下げた「蜃気楼」を展示する。
松井ローラさんの「いびつなかたち」は、3Dプリンターで作った球体の上下を切り、積み木のように組み立てた作品。倒れずに積み上げるゲームのように、ぎりぎりのバランスを探りながら偶然生まれる形を取り入れた。松井さんは「自分がやりたいことを忠実に表現することに集中している」と話す。完成した作品だけでなく、制作過程を楽しむことも大切にしているという。作品の土台に使った白と黒の砂利には、幼い頃に遊んだ京都の寺の庭の記憶も重ねている。軽い作品が風で飛ばされないようにする重しの役割もある。
同会館職員の新井杏美(あずみ)さんは「前川は建物を建てるだけでなく、周りの街とつながる場所をつくることを重視していた」と話す。「会館を訪れる人だけでなく、通りかかる人にもアートに触れてほしい。普段は館内に入る機会がない人にも、アートの力で埼玉会館に親しみを感じてもらえたら」と期待を寄せる。
会期中は、細川麻実子さんによるライブパフォーマンスを複数回開催。11月3日には、作品について参加者同士で語り合う「おしゃべり鑑賞会」(事前申込制)も予定する。
開催時間は9時~19時(最終日は17時まで)。11月18日休館。入場無料。11月23日まで。