埼玉大学図書館(さいたま市桜区下大久保)館内に設置されている「官立浦和高等學校 記念資料室」の改修作業が終わり、新たな資料を加えて5月7日にリニューアルした。
1949(昭和24)年に新制国立大学として誕生した埼玉大学は、1921(大正10)年に全国で20番目の官立高等学校として創設された官立浦和高等学校を母体の一つにしている。同大は2009(平成21)年、90年近くの歴史を持った同校同窓会が幕を下ろしたこと、大学創立60周年に当たるのを機に、同校同窓会から寄贈された所蔵品を中心に、図書館や関係者が所蔵していた資料を一カ所に集め、歴史を後世に引き継ごうと図書館内に資料室を開設した。
資料室は見学希望者がいれば開室する状況で、長らく「開かずの部屋」だったという。2023年に埼玉大学創基150周年の記念事業の一環として、同校や同大の沿革、当時の学生の様子に関する実物資料などを再整備した上で室内も改装して、大学関係者だけでなく学外の人も気軽に閲覧できる空間として新資料室をオープンした。
資料室には、同校創設以来、正門に掛かっていた木製の表札や寄宿寮「武原寮」の看板、生徒名簿、卒業証書、入学許可書、受験者心得、保証人への通知、勤労動員中の身分証明書など校務関連の資料をはじめ、浦高旗・のぼり、制帽・制服、バックル、麦わら帽子、マント、紋付き羽織、法被、ホオ歯げた、記念手拭いなど、当時の様子が分かる品々を展示している。
図書館貴重資料整理室の井上智勝室長(教養学部教授)や図書情報課によると、資料室には同校同窓会の関係者、親族のほか同大卒業生や学生、一般市民などが訪れるといい、毎年8月のオープンキャンパスでは高校生らが来室して熱心に資料に見入る姿もあるという。
図書館は2025年8月から今年3月まで改修を行い、資料室も休室していた。その間を利用して資料室の照明を直接から間接に改善する工事や展示用器具の増設、配置換えなどを行った。寄贈資料などの整理を進める中で、図書館の奥から昭和初期のものと思われる黒い卓上電話機が見つかり、新たな展示品に加えた。
井上室長は「官立浦高同窓会の関係者は高齢になり存命の方も少なくなりつつあるが、当時の資料などを持っている方もいる。そうした貴重な資料を後世に伝えていくことが、われわれに課せられた責務。埼玉の教育の歴史を伝える資料でもあり、大勢の人に見てもらえるよう努力していきたい」と話す。
資料室は図書館開館日に見学できる。開館時間は9時~17時。図書館利用証がない人は1階受付で入館手続きが必要。入館無料。