「アーティスト・プロジェクト#2.09江頭誠『夢見る薔薇(ばら)~Dreaming Rose(ドリーミング・ローズ)~』」が現在、埼玉県立近代美術館(さいたま市浦和区常盤9)で開催されている。
「#2.09江頭誠 夢見る薔薇」びょうぶには作者の「好き」がたくさん隠れている
2016(平成28)年に始まった、活躍中のアーティストを紹介する同プロジェクト。今回は、戦後日本で普及した花柄の毛布を用いて立体作品や展示空間を創り出すアーティスト・江頭誠さんが個展を開く。
江頭さんは三重県出身。多摩美術大学彫刻学科在学中、実家の母親から譲り受けた花柄毛布を友人にからかわれた出来事をきっかけに、毛布と綿を用いた作品制作を始めた。「東京に出てきて、『都会的な格好いい部屋』に仕上げていたつもりだったが、毛布のことは全く気にしていなかった。花柄毛布をからかわれてモヤモヤした気持ちを作品作りに昇華した」と江頭さんは話す。2015(平成27)年には「神宮寺宮型八棟造」で「第18回岡本太郎現代芸術賞」特別賞を受賞。「BIWAKO(ビワコ)ビエンナーレ」などの芸術祭に参加するほか、音楽アーティストやアパレルブランドのアートワークやショーウインドーのデザインなど、幅広く活躍している。
展示は「夢=憧れ」の空間で始まり、出口に近づくにつれ「安心」「本来の自分」に立ち返っていく構成。これまでの展示は既製品をベースに制作していたが、今回は初めて油粘土で「子犬」を作った。江頭さんは「店で見かけた子犬を思い出しながら作った」と話す。「これまで、多くの人が『格好いい』『強い』と思うであろうものを毛布に包んで、柔らかく安心できるものにする作業を行ってきた。ただ、本当の『好きな物』『安心』とは何か?という問いは、投げかけるのみで自分の答えは濁してきた。今回は少し、自分の生々しい部分も出してみようかと…」と説明する。
併せて、アート作品の創作における「正しさ」を問う意図も込めているという。「作品が残しやすいという理由から、石材や金属などの硬い素材が彫刻に向いていると、ある人に言われた。あえて油粘土を選んだ理由は、自分が子どもの頃に作った油粘土の作品を祖母が取っておいてくれていた経験から。重力で変形して下敷きの段ボールには油じみが広がっていたが、30年間残った。形が変わりながらも残るものに愛着を感じた」と振り返る。
びょうぶ作品は制作途中。江頭さんは「リサイクルショップのような雑多な空間や、動物が好き。ジャングルにも住んでみたい。これは花輪の制作で残った毛布に、自分の『本当の夢』を詰め込んだ作品。何が隠れているか探すことも楽しんでもらえたら」と話す。
開館時間は10時~17時30分。月曜休館(5月4日は開館)。観覧無料。5月10日まで。