焼き菓子やパン、洋服、雑貨など手作りの商品を作家自ら販売する「URAWA marche」が12月4日~10日、伊勢丹浦和店(さいたま市浦和区高砂1)で開催された。
昨年に続き、2回目の開催。「衣・食・住・美・癒やし」をコンセプトに化粧品や洋服、雑貨などを展開する同館3階のセレクトショップ「Slice of life」を中心とした会場に、埼玉県内をはじめ、北海道、岐阜、静岡など全国から36の作家が参加し、日替わりで出店した。
同イベントの会場となった、3階婦人服売り場を担当する高崎仁さんは「お客さまは、『これで良い』と『これが良い』の2つの価値によって、購入先を選ばれている」と話す。同イベントでは「これが良い」価値をテーマにし、日常生活の中での「上質で丁寧な暮らし」を提案。商品を紹介するだけではなく、お客さまが「作り手と一緒に」楽しめる空間作りを意識したという。
浦和区でベーグルと雑貨の販売や、教室運営、企画展示を行う「kuboぱん」の久保輝美さんも協力し、出店作家は全て久保さんの紹介で集まったという。会場には、出店作家の「作る姿」を画像で伝えるモニターの設置のほか、今回のイベントコンセプトに合わせて選曲したクラシック音楽を流したり、出店作家手作りのアロマをたいたりするなど、「五感で楽しめる会場」を作り上げた。
久保さんは「参加した作家の皆さんは、こだわり抜いた作品を愛を込めて届けている私の仲間。ろうそくの火を分けていくように、人と人のつながりが生まれていけば」と笑顔を見せる。「『もっとこういう空間を作りたい』というイメージもまだまだあるので、今後も今回のようなマルシェの場を企画していければ」とも。
居酒屋として料理を提供しながら無肥料無農薬の農業や手作りの調味料を販売するさいたま市の「ほどほど屋エイト」も出店し、「店の味を家でも再現したい」という客の声から商品化したという「和(かず)がらし」を中心に調味料を販売。同店の高山真純さんは「個人でやっている店だと、自分たちがやっていることが正しいのか不安になることがある。でも、久保さんはじめ手仕事をする作家さんたちとの交流や、お客さまとの出会いから『やっぱり間違っていない』と自信をもらえるのがうれしい」と力強く話した。
そのほか、ヤクや羊の毛を昔ながらの方法で手紡ぎした糸で編むストールやマフラーを紹介す
る「warp and weft」や、デザイナー自らデザインとパターンおこしをし、シャツやスカートなどを手掛ける「Houttuynia cordata」、北海道を拠点に栽培した野菜や果物の加工品を展開する「たべるとくらしの研究所」、ドイツでクリスマスシーズンに食べる伝統菓子シュトーレンとクリスマスリースのセットを用意した横浜の「la grive」など、幅広く出店。イベント初日は、各作家のブースを目当てに多くの列ができ「昨年の倍以上のお客さまでにぎわった」と高崎さん。
高崎さんは「昨年の開催以降、『もっと作家さんの情報を知りたい』というお客さまの声が多く、今年は作家の詳細を紹介したフライヤー、伊勢丹STOREアプリなど新しい試みを行った。作家の皆さんとお客さまが直接つながる場・人の輪を作ることで、一人一人違う価値観を尊重し合うことの素晴らしさを伝えられたのでは」と振り返る。