南浦和のブリューパブ「AQUWA brew works(アクワブリューワークス)」(さいたま市南区3)が7月8日、初醸造クラフトビールを開栓した。
2020年9月まで同じ場所で営業していたビアバー「PRIMORDIAL(プリモディアル)」が、店主藤井健太さんの逝去により閉店した後、「南浦和で藤井さんが育んだコミュニティを絶やしたくない」という思いから、元常連客らが中心となり2020年11月にビアパブとして開業した同店。今年3月に発泡酒製造免許を取得し、6月、クラフトビールの醸造を開始した。タンク1つ当たりの容量は150リットルで、一度に最大4種類のクラフトビールを仕込むことができる。さいたま市内では2カ所目、浦和地域では初のクラフトビール醸造所となる。
醸造所は店内奥の元テーブル席を改装した約1坪のスペース。開業当初よりビール造りの計画はあったものの、店の狭さから醸造所は別の場所に設けることを考えていたという。狭いスペースに合わせて縦に細長いタンクを特注し、配管も工夫することで店内での醸造が実現した。醸造長は「おそらく日本一狭いビール醸造所なのでは」と話す。
初醸造ビールはアルコール度数8%のウエストコーストIPAで、「ビアパブから醸造所に生まれ変わった」ことにちなみ、名前は「RE:BORN(リボーン)」とした。この日は2番目に醸造した「∞(ムゲン)ペールエール」も同時に開栓。「すいすいと無限に飲み続けられる、飲み疲れないビール」だという。
当日は常連客らが開店と同時に訪れ、17時過ぎには店内がいっぱいとなった。戸田市から来店したビアジャーナリストの南原卓也さんは「ファーストバッチ(初醸造)は思った通りにいかないブルワリーも多い中、1発目からこんなに出来が良いとは。高めのアルコール度数を感じさせない、すっきりしているが印象深い味」と顔をほころばせる。
店名の「AQUWA」は「水(アクア)」と「輪」が由来。ロゴマークには泡の模様と「プリモディアル」のロゴを連想させる縦じまをあしらい、「人の輪が泡の輪のように、いろいろなビール、料理、人と出会って交わってほしい」という思いを込めた。料理長の高山祐輔さんが手がけるフィッシュアンドチップスは日によって魚の種類を変えるなど、「毎週来ても飽きない店」を目指す。
「リボーン」は7月16日に完売。15日には3番目に醸造したボヘミアンピルスナー「チエ子」を開栓した。醸造長は「伝統にプラスアルファの解釈を加えて、特徴のあるビールを造っていきたい。今後は週に1種類のペースで新作を出せれば」と意気込む。
7つのタップには、自家醸造ビールのほか、つながりのあるブルワリーのゲストビールもつなぐ。店内ではR(340ミリリットル=1,000円)、S(240ミリリットル=700円)の2サイズのグラスで提供し、テイクアウトにも対応する。
営業時間は、月曜・金曜=16時~22時、土曜・日曜=14時~21時。火曜・水曜・木曜定休。