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浦和に月2回の手作りパン工房 「味わい深い」ハード系パン中心に

焼き立てのハード系パンやイングリッシュマフィン

焼き立てのハード系パンやイングリッシュマフィン

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 手作りパン工房「les duex lapins」(ドゥ―ラパン)(さいたま市南区別所1)がオープンして1カ月を迎えた。

工房前にたくさんのパンが並ぶ

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 店主の黒川佐智子さんが自宅の隣にある実家の一階部を改装した工房で、仕込みから販売まで1人で手掛ける。「しっかり焼き込んだパンが好き」という黒川さんが焼き上げるハード系のパンのほか、カヌレやクッキー、季節限定のシュトーレンなどが工房前の販売スぺースに並ぶ。

 黒川さんは11歳と8歳の2児の母。平日は県外で仕事をする傍ら、趣味で始めたパン作りにのめり込み、「もっと踏み込んでパン作りを学びたい」と2018(平成30)年から地元のパン教室で資格を取得した。「育児中、自宅で過ごす時間が増えたことをきっかけにレシピ共有SNSに登録し、料理やパン作りが大好きになった」と黒川さん。SNSで交流する中で「パン作りを日常にしている人がいるんだと気付かされた」と振り返る。同じ教室に通う人々がパン作り教師や独立などを果たす姿を見て「自分も挑戦したいという夢をじわじわと抱き始めた」という。

 店名の「les duex lapins」はフランス語で「2羽のウサギ」を意味する。生まれも育ちも浦和の黒川さんが「生まれ育った街と共にありたい」という思いを込め、狛兎(こまうさぎ)で知られる調神社をイメージしたという。店のロゴは黒川さんの夫がデザインしたもので、「家族の助けも借りながら店を始められた。季節限定のシュトーレンのタグや店のマップデザインもお願いした」と笑顔を見せる。「二兎(にと)を追う者は一兎をも得ずの言葉もあるが、副業で始めたパン店だとしても『今できることを今やっていきたい』という思いも込めて2羽のうさぎをデザインした」と黒川さん。

 小麦は国産を中心にパンや菓子に合わせて外国産も選定する。パンを膨らませる酵母は自家製で起こすレーズンの天然酵母やホシノ丹沢天然酵母を使う。砂糖もパンや菓子に合わせてセレクトする。カンパーニュやドライフルーツを練り込んだハード系パンを中心にスコーン、ショートブレッドなどの焼き菓子もそろえる。黒川さんは「日本人にとってパンは朝食やランチになりがちだが、夜の食事にも合わせられる味わい深いパンを目指している」と話す。カンパーニュは魚との相性も良く「オリーブオイルやサワークリームと一緒にオープンサンドにするのもお勧め。ワインとも合うので、夜の時間にゆっくりと味わってもらえたら」とも。

 現在は月に2回、週末に販売することを目標に営業している。住宅地の土地柄、幅広い年代に合わせた告知の方法も模索している。「店として販売する以上、責任を持ってパンを提供していきたい。不安になることもあるが、パンが焼き上がった瞬間はとてもうれしいし、それを喜んでくれる方の声を聞くともっとうれしい。自分のパンが少しでも多くの方に喜んでもらえれば」と意気込む。

 12月12日の販売日に準備や販売の手伝いに来たという黒川さんの友人は「オープン時間前にたくさんの方が列を作っているのを見たときは、彼女の夢が叶ったのだと胸がいっぱいになった」と目を潤ませる。黒川さんは「これから勉強することもたくさんあると思うが、パン作りを楽しみながら、こだわりを込めて焼いたおいしいパンを地域の人々に届けていきたい」と笑顔を見せる。

 営業日はインスタグラムや公式LINEで発信する。

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