学ぶ・知る

埼大で「裁判員裁判10周年」テーマに講演会 現役裁判官・弁護士と模擬裁判も

模擬裁判員裁判開廷前

模擬裁判員裁判開廷前

  •  
  •  

 埼玉大学創立70周年記念事業の講演会「もっと知ろう!裁判員裁判-裁判員裁判10周年の成果と課題-」が11月6日、埼玉大学(さいたま市桜区下大久保255)で開かれた。

河村裁判官の講演(関連画像)

 今年で10周年を迎える裁判員裁判を、学生や一般市民により深く知ってもらおうと企画された同講演会。裁判員裁判についての講演会は制度施行3年目の2012(平成24)年にも同大で開催されており、今回は第2回となる。埼玉大学の山口宏樹学長は「埼玉大学は70周年の今年、つなげよう未来へというスローガンを掲げている。このイベントで地域の人と職員、学生がつながってくれればうれしい」とあいさつした。

[広告]

 同講演会は2部構成。第1部はさいたま地方裁判所裁判官河村俊哉さんや元日本大学法学部教授で現在弁護士の船山泰範さんによる講演が行われ、第2部は埼玉大学経済学部川又ゼミに所属する学生と河村さんによる模擬裁判員裁判・評議が行われた。主催の埼玉大学川又伸彦教授は「現役の裁判官や弁護士の経験を踏まえたお話は学生や一般の人にとってとても勉強になると思い、講演会を企画し、講演だけでは裁判員裁判に対する実感が湧かないと思い、本物の裁判官を交えての模擬裁判員裁判を行うことにした」と話す。

 河村さんは、刑事事件を扱う現役の裁判官としての経験を踏まえ、裁判員が無理なく裁判に参加できるよう、調書中心の裁判から証人尋問中心の裁判に変化していることや、障がいを持つ人でも参加しやすい仕組みを取り入れていることを説明した。河村さんは「これまで約9万人の裁判員が参加し、アンケートによると9割以上の裁判員からやってよかったという声が聞かれた。裁判がよりよい方向へ進んでいるのを感じ、自分でもよい制度だと思う」と話す。一方で「まだ裁判員裁判に不安を抱く一般市民の方が多くいるので、裁判所としてもっとPR活動をしなければならない」とも。

 船山さんは裁判に市民が参加するという観点から裁判の民主化について講演をした。裁判員裁判が刑事裁判を分かりやすくしたこと、裁判の民主化を進めたことなどの成果や裁判員の辞退率が増加傾向にあること、裁判がやや長期化していることなど、これからの課題も示した。船山さんは「自分が学生の頃、裁判の傍聴席にはほとんど人がいなかったが、今は中高生が来て満席にしている。とても喜ばしいことだ。裁判に参加するにあたり主体的思考を磨くため、もっと模擬裁判をしていきたい」と意気込む。

 第2部の模擬裁判・評議ではさいたま地方裁判所から本物の法服を借り、裁判官役の学生2人と裁判長役の河村さんが法服を着て臨んだ。証人尋問や被告人質問の際、裁判員や裁判官役の学生が積極的に相手に質問する姿が見られた。評議では、河村さんが裁判員や裁判官の話を聞き取り、法律用語の解説や話の整理をしながら誰でも理解できるよう丁寧に進行し、学生も自分の意見をはっきりと示していた。裁判官役として参加した3年生の平能隆さんは「河村さんは裁判員の意見をたくさん聞いていた。裁判員が主体的に参加できるようになっていると感じた。法服を着ると身が引き締まる思いだった」と話す。川又さんは「評議で学生が積極的に発言している姿を見られてよかった。裁判の傍聴に行っても評議までは見られないので、本物の裁判官を交えた本物に近い評議はとても勉強になった」と話す。

  • はてなブックマークに追加