東京建築賞とは
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撮影:川澄・小林研二写真事務所
【設計者コメント】
老朽化・分散化していた市役所機能の統合と旧病院跡地利活用による、春日部市の新庁舎建設です。まちの姿の更新の機会として、この新庁舎建設と共に計画地が面するメインストリートの歩道拡幅整備も開始され、新庁舎にも広場形成が求められていました。こうしたまちづくりが動く機運の中、広場のみならず市役所の在り方自体がまちに開くことで、行政の中心であるだけでなく市民を呼び込んで「市民のいばしょ」が顔となる、新しい市役所の姿を目指しました。
その目論見として、レストラン、ホールやこどものプレイルームといった、市民の集いの場となる小さな2つの棟を設け広場を囲んで位置づけることで存在を際立たせ、庁舎をその背面に配する分棟構成としました。分棟は、住宅地の広がるまちのスケールに馴染ませると共に、人を誘い込むヒューマンスケールな佇まいを生み出すことも意図しています。背後に配した庁舎は、水害対策と施設アクセシビリティの両立を図るため1階を駐車場とし2階以上に市役所機能を上げた計画としています。これを、大階段とテラスを介して緩やかに結ぶことで、広場と庁舎とに立体的な繋がりを生んでいます。市役所開庁後、毎月、市またはカフェ主催のひろばイベントが開催されており毎回多くの市民で賑わっています。ステージは市民の表現の場となり大階段やテラスは恰好の観覧席にもなっています。建築が建った後も、このような活動を活かせる器として多くの市民に活用されていることは、設計者として大変喜ばしいことです。今回の受賞は、市役所、ひと、まちがつながった、まちに開かれた市役所ということ等を評価頂きました。新しい市役所像づくりという目標に向けて共に取り組んで頂いた市の担当課の方々はじめ、関係者の皆様との協働により実現できたものと、感謝いたします。
【建築概要】
名称:春日部市新本庁舎
所在地:埼玉県春日部市中央7-2-1
建築主:埼玉県春日部市
設計者:久米設計
施工者:大林組・東武建設・正和工業特定建設工事共同企業体
延床面積: 24,261.15平方メートル
階数:地上6階地下1階
構造:RC/S
竣工:2023年9月
受賞:東京建築賞/SDA賞/グッドデザイン賞
【設計コンセプト】
「市民のいばしょ」が顔になる庁舎
行政の場という従来の市役所機能に加え、「市民のいばしょ」として機能する新しい市役所の姿を目指した。計画地のメインストリートに面して「まちなかひろば」を据え、ひろばを囲うように「市民のいばしょ」機能となる2棟の小さな建物を配置することで、ヒューマンスケールのある居心地の良い集いのスペースが形成されている。 その背面に位置する市役所本体は、浸水対策として1、2階間での柱頭免震構造を採用し、1階を駐車場、2階を市民窓口とする構成となっている。「まちなかひろば」からつながる大階段とテラスによって、2階の市民窓口空間と動線的に接続し、「市民のいばしょ」と市役所が視覚的にも連続し、内外がつながる空間を生み出している。 また、月に一度開催されるひろばイベントでは、ひろばのステージが市民の表現の場となり、大階段は恰好の観覧席となる。日常的に市民に親しまれ、記憶に残る市役所空間を実現した。
撮影:川澄・小林研二写真事務所
撮影:川澄・小林研二写真事務所
撮影:川澄・小林研二写真事務所
撮影:川澄・小林研二写真事務所
【会社概要】
株式会社久米設計
「豊かさ」を拓く。私たちは「豊かさ」とは何かを真剣に考える多様な個性の集合体です。地域・人を大切に、未来を見据えた新たな価値を創造していきます。
1932年の創設以来、数多くの都市、建築の設計を手掛けてきました。技術とデザインの融合を追求し、人と社会への貢献を目指す企業です。本社を東京都江東区潮見に構え、社員数約650名(約450名の資格を有する専門家)を擁し、国内外の幅広いプロジェクトに取り組んでおります。持続可能な社会の実現へ、技術とデザインで貢献してまいります。
URL:https://www.kumesekkei.co.jp/
所在地:東京都江東区潮見2-1-22
取締役社長 井上宏
【久米設計Instagram】
https://www.instagram.com/kumesekkei/