さいたま市南区在住のフリーランス編集者の大武美緒子さんが12月10日、「落ち葉LOVER」をテーマにしたリトルプレス「Letters」最新号5号を刊行した。
大武さんは、もともと出版社に勤め、月刊誌の編集を十数年担当したのちに、フリーランスの編集者となった。「もともと、作り手の思いが伝わってくる、ローカルなリトルプレスが好きでよく読んでいた。子育てをする中で感じた、足元にある大切なことや小さな違和感を、丁寧に掘り下げた冊子を自ら発行したいと思うようになった」と大武さんは話す。2014(平成26年)年に同誌を創刊した。
発行は不定期で、仕事や子育ての合間を縫って、取材や編集、営業を行う。これまでに「木と暮らす 木と育つ-vol.1」「いつもの公園の少し先-vol.2」「小学校に入るまでにこれだけはできないとって本当ですか!?-vol.3」「自然遊びで育む家族の防災力-vol.4」といった特集を組んでいる。大武さんは「子育て情報ではなく、子どもとの暮らしから『大人の暮らし』を見つめ直すヒントになるような言葉を伝えられれば」と話す。冊子は、A5サイズ、32ページ。紙質や色味にもこだわり、「雑貨のように手に取ってもらえるような冊子」を目指す。
最新号は、大武さんが以前から温めていたという「落ち葉」がテーマ。「近所の大きなケヤキのある大好きな公園で、落ち葉の時期になると、ブロアーを使って落ち葉をきれいさっぱり取り除いてしまう風景に、ずっと違和感を抱いていた。」と大武さん。特集の最初には、落ち葉をガラスで挟み込んだランプなどのステンドグラス作品を制作する、秩父のワタナベナオコさんへの取材記事を掲載した。大武さんは「落ち葉の色や模様の美しさをめでるのは、日本人特有の感性ということに取材を通じて気付いた」と話す。
ほかにも、「New草花遊び研究所」の相澤悦子さんによる落ち葉を使った天然の折り紙遊びや、落ち葉をそのままにする「落ち葉マルチ」という手法で人も虫も木もよろこぶ庭づくりを手掛ける造園家、落ち葉感謝祭を行っている杉並区への取材記事など、全国の落ち葉LOVERを集めた構成となっている。
価格は600円。さいたま市を中心に、コミュニティーカフェや書店のほか、ネットなどでも販売している。大武さんは「知り合いの農家の方は、落ち葉は宝と言う。住宅地に暮らす中でも、なにか発想の転換となるきっかけになれば」と話す。