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さいたまで小中学生に無料で勉強教える学習塾「ひこざ」、活動記録本出版

「ひこざ」を運営する角田眞喜子理事長と埼玉大学内サークル「ひこざらす。」所属メンバー

「ひこざ」を運営する角田眞喜子理事長と埼玉大学内サークル「ひこざらす。」所属メンバー

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 さまざまな事情で塾に通っていない小中学生に無料で勉強を教える学習塾「ひこざ」(さいたま市桜区下大久保)が8月5日、活動の記録をつづる「子どもが元気になる無料塾」(さわらび舎)を出版した。

毎月発行される「ひこざ便」も学生自らが作成する(関連画像)

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 経済的な問題などを抱える地域の子どもが安心して集い学べる場として2015(平成27)年2月に地域住民が立ち上げた同塾。学習支援を中心に、地域住民と埼玉大学の学生が立ち上げた学内サークル「ひこざらす。」のメンバーが運営する。

 角田眞喜子理事長は、2010(平成22)年7月に埼玉県川口市で開かれた「子どもの貧困を考えるシンポジウム」(埼玉県弁護士会主催)で、母子家庭の子育ての大変さ、生活保護を受けながら高校に通う男子生徒の訴えを聞き、「これを放っておくことはできない、何か力になりたい」という思いを強く抱いたことが無料塾開設のきっかけとなった」と話す。

 行政ではなく完全に市民が運営する無料塾は珍しく、開設してから見学者が後を絶たないという。角田さんは「見学に来る人の中には『ひこざのような無料塾を立ち上げたい』という人も多く、創立のきっかけから運営方法、現状までを説明するのに時間がかかり、無料塾の楽しさ、子どもの変化など、無料塾の神髄に関わる大切なことをうまく伝えられずにもどかしい思いをしている。特にドラマチックで感動的な出来事で溢(あふ)れていた創立からの2年をまとめた活動記録をまとめたら、それを読んでもらったらすべて伝えられると、本出版に至った」と話す。

 「ひこざらす。」代表を務める教育学部3年の秋山唯さんは「教師を目指している自分にとって、実際の教育現場に立てることが大きな学びにつながっている。子どもたちにとって少しでも居心地の良い場所となるよう、これからも尽力していきたい」と話す。教育学部2年の熊澤七海さんは「ひこざに通ってくる子どもたち一人一人学びたいことやつまずいている問題が異なるため、本人の意思と学生のアドバイスによって個人に合ったカリキュラムを作っている。難しいが、子どもたちに教えた後学生同士で毎回ミーティングを行い、問題があれば共有し、みんなで子どもたちの学びや成長に向き合っている。子どもの成長が目に見えた時は大きなやりがいを感じる」と話す。「ひこざ」に通っている中学1年生の男子生徒は「とても分かりやすく教えてもらうことができる。楽しく勉強ができるからこれからも通い続けたい」と笑顔で話す。

 角田理事長は「この本を読んでもらい、全国にもっともっとたくさんの地域型の無料塾が増えることを願っている」と期待を込める。

 価格は1,728円。アマゾンや全国の書店で販売するほか、ひこざでも販売する。

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