武蔵浦和コミュニティセンター(さいたま市南区別所7)で1月9日、第22回埼玉・市民ジャーナリズム講座「女性とシニアが情報発信 埼玉新聞のタウン記者の試み」が開かれた。
同講座は埼玉県内を中心とする各界のジャーナリスト、有識者、文化人と共に、市民参加のメディアの役割、ジャーナリズムと地域文化を考える定期的な講座。主催は埼玉新聞サポーターズクラブ、日本機関紙協会埼玉県本部、NPO法人埼玉情報センター、さきたま新聞。
今回は埼玉新聞でタウン記者を展開する埼玉新聞編集局長代理の吉田俊一さんとタウン記者をゲストに招いて講演を行った。
タウン記者は、一般の人が講座に参加して記事の書き方を習い、実際に埼玉新聞の紙面に掲載される記事を書く。職業記者とは違い、生活者であり当事者として読者に近い視点で記事を書くのが特徴。2009年からスタートして今年で7年目を迎え、今ではタウン記者の記事が掲載されない日はないほどになった。
スタートした当初は経験者や業界の関係者が多かったが、2011年ごろから求職者やシニア層が多くなり、さらに2013年以降は子育て世代の女性が増え、ここ2年で記者登録を行った人の9割が女性という。今までに70人採用し、現在でも継続的に登録を行っているのは45人。そのうち女性は18人で、シニアが17人。現在はその2つの層が中心となっている。
「読者の新聞離れといわれているが、実は新聞の読者離れが起きているのではないか。報道の当事者性をどのように考えるか。地域ネタを取り扱う地域メディアには現在その当事者性が求められている」と吉田さんは語る。
吉田さんの話の後は、参加した4人の市民記者が、タウン記者になった理由やきっかけと、タウン記者になって変わったことなどを発表した。「タウン記者を始めるようになって物の見方が変わってきた」「ウェブメディアに書いていたが、新聞に書くようになり、その価値が分かった」など、さまざまな意見・感想が上がった。
終了後には参加者同士で、タウン記者制度の質疑応答以外にもタウン記者と当事者性・客観性という少し大きなテーマから、地域での記事の見つけ方などのさまざまな意見交換が行われた。