学ぶ・知る

さいたまの縫製工場が工場設備を時間貸し 使い方指導も

利用者に使い方を指導する水出社長

利用者に使い方を指導する水出社長

  • 2

  •  

 縫製工場「お直し工房ファッションいずみ」(さいたま市桜区神田)が土曜限定で、プロの縫製設備の「使いたい放題サービス」を始めて、8月24日で2カ月がたつ。

水出夫妻

[広告]

 プロ仕様のアイロンやボタンホールミシンなどの特殊ミシン、裁断機やミシン糸なども使え、利用料は1人1時間1,100円(要予約)。使い方が分からない場合は、社長の水出俊哉さんが指導するほか、縫製業のシェアオフィスとしても利用できる。

 1991(平成3)年に創業した同社は今年で32年目を迎えた。以前は大手アパレルメーカーの仕事の下請けをしていたが、メーカーの海外生産の増加に伴い、国内での発注が減り、時代の変化に合わせて同社も変化する必要に迫られた。「いかにして客に知ってもらい、必要とされるものを提供できるか」を考えた末、15年ほど前からブログやSNS、オウンドメディアで発信を行い、同社の設備や高い技術力を知ってもらい、客と直接つながる受注方法を選んだ。現在までに、数多くのメーカーとつながることができた。現在は6人体制で工場を運営し、50枚~100枚の小ロットから受注生産している。

 同社のミシンは、薄手の生地はシルクやシフォン、厚手の生地はウール、メルトンまで対応可能。元は高級婦人服の縫製をしていた同社には薄手の生地の縫製を得意とするミシンがそろう。裁断台は180×480センチのサイズでダブル幅の生地を広げて裁断可能。手動の延反機(えんたんき)も備える。立刃(たてば)式裁断機で生地を型紙に合わせて粗断ちし、バンドナイフでより正確に裁断することもできる。アイロンは最新のボイラーを使い、粒子の細かな質の良い蒸気とバキューム台がセットで利用できる。ボタンホールミシンは直径30ミリくらいまでのボタンホールが空けられ、ロックミシンは3本糸で縁かがりの始末ができる。電子ボタン付けミシンなどもある。

 サービス利用者で、普段は仕事で古着を扱っているという桜田俊さんは以前から、同社のSNSでの発信に注目していたと言う。「高い技術力を持ち、縫製を大事にしているブランドのクオリティーを出している同社に興味があった。スペースの制約がなく、広々とした場所で作業ができて、家庭で作業するよりも作業効率がいい」と話す。

 水出さんは「縫い方が分からないときはアドバイスする。接着芯やボタン、ファスナーなどの副資材の仕入れ先の相談にも乗る。衣装の制作やハンドメード作家にも利用してもらえたら。工房の様子はSNSで発信している」と話す。

 サービスの利用は要予約。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース