さいたま市立常盤小学校で11月19日、6年生155人が起業体験の授業で企画したドーナツやどら焼きなどの商品を学校祭「ときわっ子まつり」で販売した。
社会に出て求められる起業家精神を養うことを目的に、同市は「早期起業家教育事業」(通称あんとれすくーる)を実施。同小学校では、2008年から授業の一環として企業の協力を得ながら取り組んでいる。
授業では「頑張れ日本」をテーマに、児童が話し合って会社を作り、役職を決め、事業を計画した。商品の企画や利益の算出など計20時間、勉強した。当日、体育館には16店の食品会社が並んだ。
焼き鳥を販売した「元気のタネ」の会社は、「努力する人をとことん応援」をコンセプトに手書きのメッセージを付けていた。学年主任の堀内匠太教諭は「商品の完売が目標ではなく皆で協力し、会社のテーマが伝わるように」と指導。身振りで接客する生徒やお金のやりとりに迷う生徒も見られる中、来場した保護者や地域住民は笑顔で購入していた。6年女児の母親の木下明美さんは「家に帰ると楽しそうに授業の話をしていた。頭を下げて、感謝するなど、働くことの大切さも学べる貴重な社会体験だと思う」と笑顔を見せる。
同小6年の山崎香凛さんは「宣伝担当で、ポスターやCMを考えるのが楽しかった。当日のお客さんの様子を予想して、上手に対応できるような準備が必要だった」と振り返る。門間玄紀君は「販売担当で事前にお店に行って商品の置き方の工夫を聞いた。授業が楽しかったのでもっと勉強したい」と話す。
五十嵐友一校長は「アイデアを出し合い、主体的に取り組む姿を見てうれしい気持ち。創造力も培われ、社会で活躍できる人材育成の第一歩になれば」と話す。販売の利益も児童が決めるが、これまでは寄付などに充てられている。