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さいたまのカフェ「のら」、飲食店営業終了しコミュニティースペースへ

小峰さん(左)と新井さん(右)

小峰さん(左)と新井さん(右)

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 コミュニティーカフェ「ヘルシーカフェのら」(さいたま市南区鹿手袋7、TEL 048-607-3007)が今年10月で飲食店営業を終了し、コミュニティースペースとして再スタートする。

開店当初の新井さん

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 20席程度の店内に16畳のフローリングスペースを併設する同店。親子連れでも気軽に集い、食事を楽しめる地域のコミュニティーカフェとして、2009(平成21)年11月にオープンした。

 現店主の新井純子さんが2004(平成16)年に育児雑誌に投稿して最優秀賞を受賞した「コミレス(コミュニティーレストラン)は子育て支援の要」というリポートを、同店の大家である小峰弘明さんが読んだのがきっかけだったという。小峰さんは県庁の職員で、主に福祉を担当することが多かったが、行政の縦割りでは地域福祉を実現するのは難しいと考えていた。新井さんのリポートを読み、協議の上で、実母が一人暮らしをしていた実家の庭に店舗を建て、営業を始めることにした。翌年から新井さんがランチ営業も担当している。

 同店は飲食だけではなく、さまざまなイベントも開催してきた。今年5月末までで計約1700回のイベントを開いた。ランチ営業も、新井さんだけでなく、野菜ソムリエの谷口美帆さんが厨房を使ってランチを提供する「E-coto ランチ」(イーコトランチ)を不定期で開催するなど、多様な形で運営してきた。

 15年以上にわたって親しまれてきた飲食店営業を終了する理由について、新井さんは「この場所にいると、本当に面白い出会いがたくさんあった。辞めたらそれがなくなってしまうと思って、頑張ろうとは思っていた。コロナ禍以降は一人で店を切り盛りしていて、体力的にも限界を感じていた。昨年の猛暑と最近の物価高騰が決め手になった」と話す。

 飲食店としては7月末に営業を終了するが、イベントなどを開くコミュニティースペースとして「ほぼのら」と店名を改め、営業を続ける。本年度で県庁を定年退職する小峰さんは来年度以降、運営に本格的に関わっていくという。店名の由来は自前のランチ営業がなくなるだけで、イベントの運営などはこれまで通り行うことから「ほぼ、のらと同じ」という意味を込めて付けたという。今後はスペースの利用者やランチ営業の希望者も募集し、ヨガ教室や子どもカフェ、健康マージャン、ちびっこパズル広場など、多様なプログラムも提供する。谷口さんのランチ提供も不定期で続ける予定。

 小峰さんは「『ほぼのら』ではスペースの利用だけでなく、厨房もあるので、曜日を決めてランチ営業するなど、柔軟に対応できる。以前は常設でないとだめだと考えていたが、今は地域にとって柔軟な場所の方が必要とされていると感じている。高齢社会では、自分たちにできる範囲で無理なく続けられる居場所が大切。そうした場を増やしていけたら」と話す。

 現在の営業時間は11時30分~17時。日曜・月曜定休。

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