セルビア人日本画家のマリヤーナ・アンジェリッチさんの個展「花の賛歌・Hymn of flowers」が北浦和の会席料理店「二木屋」(さいたま市中央区大戸4)の離れ・浅倉家で現在、開催されている。
元からあった古い日本家屋を活用し、1998(平成10)年から営業している同店。母屋は1935(昭和10)年に建てられ、増築を経て今の形となり、日本国登録有形文化財に指定されている。郷土玩具コレクターで元オーナーの故小林玖仁男さんが全国各地から集めたコレクションで季節の伝統行事に合わせ客室を飾り付ける「季節ごとの室礼」も、店の魅力の一つとして客を楽しませている。
2020年3月に開催が予定されていたさいたま国際芸術祭2020公募プログラムの一つである同展示。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、当初の予定が延期されている。7月10日の同プログラム公式サイトの発表によると、当初の規模での開催は見送られているが、作品の準備などは終わっていることから、「博物館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に基づき対策を講じた上での会場の公開などの代替策を検討し実施している。
二木屋の現オーナーである森田まり子さんは「セルビア大使館のご紹介で埼玉在住のマリヤーナさんとのご縁をいただいた。マリヤーナさんが絵のモチーフによく使っている『花』がさいたま国際芸術祭のテーマと同じだったことから、公募プロブラムに応募したところ選ばれた。元から二木屋のイベントとして開催する予定だったこともあり、今回開催に踏み切った」と話す。「セルビア人アーティストが描く『日本画』を、和と洋の文化が融合している二木屋にぜひ飾ってみたかった。思っていた以上にしっくり合う、多くの人に見ていただけたら」とも。
マリヤーナさんは、2010(平成22)年に絵を学ぶために来日。東京芸術大学で学び、日本画の博士課程を取得している。マリヤーナさんは日本画の魅力を「岩絵の具や和紙などを使うので、自然に近く神秘的。日本人は季節を大切にする、各季節を彩る花にも引かれる。春に1週間だけ開花する桜を非常に大事に楽しみにしているところなどはかなさを感じる」と話す。今回27点の作品を展示し、購入も可能。キリル文字を絵に組み込んでいる作品もあり、「日本の古典的な絵画に倣っている」とも。マリヤーナさんは各日数時間在廊する。
開催時間は11時~20時。展示のみの見学も可能。今月22日まで。