埼玉大学(さいたま市桜区下大久保)の創立70周年を記念してコエドブルワリー(川越市中台南)が醸造したビール「創立70周年アニバーサリーエール」が10月26日から、同大生協で販売されている。
埼玉大学大学院 理工学研究科 准教授の長谷川有貴さん(関連画像)
同大は1949(昭和24)年に開学。記念ビールは上面発酵で造られる「エールビール」という種類で、「コエドブルワリーから埼玉大学の70周年にエールを贈る」という意味を込めて、限定1500本が醸造された。
IPAにシャンパンの辛口の要素を掛け合わせたBrut(ブリュット)IPAというビアスタイル。麦芽とホップに加えて、埼玉県産の米「彩のかがやき」を使うことで軽い飲み口にしたほか、米麹(こうじ)を使うことで酵素の働きによりドライに仕上げたという。通常IPAはアルコール度数が6~7%と高めだが、このビールは4.5%と低めで、苦みも控えめなことが特徴。
10月26日に行われた同大卒業生や元教職員の集まる「ホームカミングデー」でビールが披露され、同日より販売が開始された。同大生協の河本健太郎さんは「発売から2日間で200本ほど販売した。想定を上回るペースの売れ行きで11月初めには完売となったため、追加醸造を依頼している」と話す。追加醸造分は12月第3週目ごろに仕上がる予定で、現在は予約を受け付けている。
記念ビール作りのきっかけとなったのは、クラフトビールが大好き、という同大大学院理工学研究科長谷川有貴准教授。2018(平成30)年に同大産学官連携協議会の主催する産学交流会へコエドブルワリーの朝霧重治社長が登壇したことから、研究室の学生を連れて同ブルワリーへ工場見学に訪れた。その際、同大の70周年を知った朝霧社長から記念ビールの提案があったという。ビールの仕上がりについて「香りはフルーティーだが、味は甘くなくすっきり。後味にIPAらしい苦みも残る、とても好みの感じ」と満足そうな表情を見せる。
「記念ビールらしく、シャンパンゴールド色で明るいイメージ。重すぎず、一口で華やかな気分が味わえるビールなので、お祝いの席はもちろん、気分を変えたい時や、疲れて帰った時の一杯に楽しんでほしい」とも。
ラベルにもこだわった。描いたのは同大卒業生で漫画「理系が恋に落ちたので証明してみた。」の作者、山本アリフレッドさん。山本さんを指導していた教員を通じて、長谷川さんから制作を依頼した。「せっかくなら埼大出身の漫画家さんにお願いしたいと考え、『リケ恋。』の登場人物のように、知的で色っぽい女性をメインにしてほしいとリクエストした。ほかにもミュシャの絵画のイメージを参考にしてもらったり、埼大ロゴとマスコットの『メリンちゃん』を入れたりなど多くの要望を盛り込んでしまったが、山本先生がきれいにアレンジしてまとめてくださった」と長谷川さんはほほ笑む。
同大の山口宏樹学長も、ビールの評判について「大好評」と喜び、「地域をつなげることも、大学に求められる役割の一つ。このビールも地元のつながりの結果が、新たな産学連携につながった」と話す。
同大生協で販売されるのは瓶ビールだが、朝霧社長の機転により、1たるだけ生ビール用のたるがあるという。たる生ビールは北浦和駅そばのクラフトビール専門店「BEER HUNTING URAWA(ビアハンチングウラワ)」で開栓を予定している。
1本630ミリリットル=880円。予約は埼玉大学生活協同組合のホームページで受け付ける。