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浦和の老舗茶店でトリエンナーレ関連企画展 「美術と街巡り」の一環で

老舗茶舗に現代アートの息吹を吹き込んだ、中根秀夫さん。

老舗茶舗に現代アートの息吹を吹き込んだ、中根秀夫さん。

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 中山道沿いにある茶店、青山茶舗(さいたま市浦和区岸町4、TEL 048-822-2953)で3月16日から20日まで、中根秀夫さんによるインスタレーション作品の展示が行われた。9月に開催される「さいたまトリエンナーレ2016」のパートナーシップ事業として、旧中山道沿いの建築物や街中にアート作品を展示。アートを身近な存在として紹介する取組の一環。

店舗奥扉をスクリーンに見立てた映像作品

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 同店は、明治初期創業の茶店で、江戸後期に建てられた店舗は歴史の重みを感じる和風建築として地元でも有名。隣には蔵を改装した喫茶・ギャラリーが併設されアート作品の展示が行われているが、中根さんの今回の作品は店舗部分のショーウインドーやショーケース、飾り棚に展示され、奥扉をスクリーンに見立てた映像作品も上映された。

 中根さんは東京芸術大学出身で、数多くの個展やグループ展に作品を出展してきた。絵画を基本としながらも、その配置や見せ方によって空間の強さを変えることに魅力を感じ、インスタレーションという表現方法を用いる。今回は古い日本家屋が題材であることから、その場の持つ力を壊さないよう心掛けたという。

 「江戸時代後期築という時間が含まれた空間、自分を中心とした過去・現在・未来という表現がしたかった」と中根さん。プロジェクションマッピングをほうふつとさせる、奥扉に映し出される映像は詩人とのコラボレーションによるもので、四季を歌った詩とビデオ撮影による風景を組み合わせた映像作品となっている。「素材の色合いを残すよう、あえてはっきりと映らないようにしており、外からじっくり見るとはっと気づく感じを意識し、ストーリーに沿って進んでいく映像と引き戸のシミが、えも言われぬ味わいを引き出している」という。

 表のショーウインドーには、鏡を敷き詰めた空間にオルゴールとそれに連なる「鏡の中の鏡」という曲を刻みこんだ6メートルにも及ぶ振動版を設置。線と点を使い、ゆったりとした時間の流れを感じさせる作品に、短針・長針・秒針からなる3つの時計が添えられている。

「今回の展示には直線も多く用いた。さまざまな角度で水滴の流れるようなラインを絵の具で作りバランスやリズムを表現した」と中根さん。「地域に密着した催しは全国各地で行われているが、その多くは過疎地だったり廃屋を活用したりしたものが多い。そんな中、こうした生きている空間を利用した展示はとても新鮮に感じた」とも。

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