「第22回 With You さいたまフェスティバル」が2月2日~4日、「With Youさいたま 埼玉県男女共同参画推進センター」(さいたま市中央区新都心2)で開催され、3日に埼玉大学ダイバーシティ推進センターによる発表が行われた。
同センターは埼玉大学内でジェンダー・セクシュアリティーの多様性を尊重する取り組みを主導している。今回は「ダイバーシティ社会を作る 埼玉大学・学生からのメッセージ2023」と題し、センターに関わりのある学生グループが3部構成で発表した。
第1部「授業『ダイバーシティ社会を作る』受講生による研究成果報告」では、各グループが調査を行い、その結果をもとに作成した資料から、教育や就職における多様性のあり方についての研究結果を発表。学校教育で多様性を学ぶことの重要性、学生の就職に関する意識の違い、道徳の教科書における多様性の欠落などを指摘した。
第2部では、学生グループ「レインボーアンブレラ」が発表。活動内容としてLGBTQに関する法律や条例の検討、関係者インタビューによる現状把握、埼玉大学の学園祭「むつめ祭」における展示やスタンプラリーの実施を報告した。セクシュアリティーによる差別のない社会の実現に向け、アライ(LGBTQへの理解・支援)の姿勢を再考し、共同・連帯していく重要性を訴えると、来場者からは問題意識の高さに対する称賛の声が上がった。
第3部は、学生団体「Spring Up」が活動報告を行った。同団体は「私たち一人一人のモヤモヤを大切に」することを意識し、誰もが声を上げやすい環境を作ることを目標とする。「生理用品がトイレにおいてあれば」という意見を基に、「全ての人が過ごしやすいトイレプロジェクト」を立ち上げ、学内で無料の生理用品設置に関するアンケートや、実際に設置して使用量のモニタリングを行った。アンケートでは男性トイレへの生理用品の設置に対しての疑問の声が挙がっていたため、生理があっても見えない存在にされてきた男性たちがいる現状を認識してもらうなど、当事者に限らず多くの人の理解を得ることが重要だと結論づけた。。
最後に行われた全体ディスカッションでは、来場者からの意見を募った。蕨市内で養護教諭を務める40代女性は「どの発表も興味深かった。皆が問題意識を持ってアクションを起こせるようになればいい。そのためには大人の日常の振る舞いが大事だと感じた。多様性を認めなかったり、ジェンダーバイアスをかけてしまったりしないよう気を引き締めたい」と前向きに話した。
同センターの瀬山紀子准教授は「発表を通して、若者に向けた活発な動きが学生主体で行われていることを改めて実感し、大学から新しい試みが始まっていてうれしい。この先、活動がさらに発展していくことを願っている」と期待を込める。