個人が制作した冊子であるZINEの展示や販売を行うイベント「ZINEフェス」が2月3日、浦和パルコ(浦和区東高砂町)のイベントスペースで開催された。
浦和パルコでの開催は2回目。会場には46人の制作者が出展。小説やグルメをまとめた冊子、ポストカードなどジャンルにとらわれないZINEが並んだ。
イラストレーターのCHIZURIさんは、動物をモチーフにしたイラストの冊子やグッズを展示した。イベントを通じて個展への参加者増を狙う。CHIZURIさんは「新しい出会いもあり、ZINEフェスを楽しんでいる。2月の後半にある個展へ訪れる人が増えるように活動していきたい」と意気込む。
ライターの水町有来(みずまちゆら)さんは、自身が執筆した小説「聞き役の独酌は反すうして終わる」を多くの人に知ってもらうために出展したという。「ZINEフェスは自由に制作物を販売できるいい場所。展示を行う中で、小説を手に取ってくれる人や感想を教えてくれる人、自分でも文章を書き始めた報告をしてくれる人がいてうれしい」と話す。
文章やイラストをまとめた雑誌のようなZINEである「mg.」は、コーヒやドーナツなどの食べ物をテーマに制作している。大学の同級生が中心となって制作する同誌は7号ある。編集長の川上奈緒子さんは「イベントに参加することで、普段とは違う刺激が得られる。制作に当たって、新しいチャレンジができるのも楽しい」と話す。
双子のizとazのユニット「ZUZU」は、2人で手がけたSF短編小説を2冊販売。小説はページのデザインから紙選びまで全て自分たちで制作しているという。izさんは「100%オリジナルだからこそ、自由に創作できる。大変なことも多いが、制作物が完成したときは、とてもうれしい」と話す。「ZINEフェスを通じて、さいたまの人やクリエーターとつながりを増やしていきたい」とも。
デザイナーの神沢澪(かみさわみお)さんは、ペンギンをモチーフにしたイラストやグッズを販売した。浦和パルコで行う展示は、ほかのイベントとは雰囲気が違うという。「吹き抜けのイベントスペースということもあり、通りがかりのお客さんや子どもたちが訪れてくれる。ペンギンのイラストを見て、お父さんにそっくりだと言われたこともあり、にこやかな時間を過ごせている」と話す。
ZINEフェスは、東京の吉祥寺にあるブックマンションを経営する中西功さんがイベントを企画したのが始まりだという。中西さんは「ZINE好きのお客さまがいたのでイベントを始めた。埼玉県で行うZINEフェスは、地域の方が出展することもあり、普段と違う雰囲気になるのが面白い」と話す。「ZINEは誰でも始められるもの。紙一枚からでもいいから、制作する人が増えてほしい」と話す。「半年に一度くらいのペースで、今後もZINEフェスを開いていきたい。北関東のZINE好きの方や熱量を感じたい方に訪れてほしい」と呼びかける。