埼玉大学(さいたま市桜区大久保)の学生が取り組んだインターンシップの振り返りの鼎談(ていだん)会が11月22日、埼玉大学で行われた。
同大では、地域の企業と連携し学生のインターンシップを行っている。今回、日本たばこ産業(JT)埼玉支社(大宮区)との連携で行われたインターンシップは「課題解決型インターンシップ」で、企業や地域が抱える課題を、学生と企業が協力し解決に向けた提案を行うもの。20歳以上の学生を対象に募集し、15人の学生が応募した。
同大と同社のインターンシップでの連携は初。「たばこを吸う人・吸わない人が共存するためには」を課題に、「たばこを吸う人・吸わない人が共存できる喫煙所」の企画・提案に取り組んだ。8月~9月の学生の夏休み中6日間を使い、1グループ3~4人にJT社員が1人ずつ担当し、学生と話し合いながら「理想の喫煙所」を絵でイメージしたり、設計してもらったりして、アイデアをまとめ、最終日には同社でプレゼンを行った。
グループの一つを担当した企画担当部長の新井翔太さんは「学生時代の経験で今に生きているのは何かを考えながら、学生の皆さんのためになるようなインプットを与えられたらと考えながら一緒に取り組んだ。素晴らしい喫煙所のアイデアをもらったので、実現できる機会があればと思っている」と話す。
振り返りの鼎談会にはインターンシップに参加した理工学研究科機会科学専攻の渡邉光毅さん、佐藤亮斗さん、埼玉大学キャリア―センター長・石阪督規教授、JT埼玉支社の企画担当部長・新井翔太さん、香原あかりさん、埼玉新聞社クロスメディア局長の小林義治さんが参加した。
渡邉さんは「今まで研究室にいたこともありインターンシップに参加する時間が取れなかったが、今回初めて参加し、多くの事を学んだ。実際に企業の方と話し合いながら課題を解決していく手順は実践的で、これからの進路を考える上で自分に何ができるかを考えるきっかけになった」と話す。
佐藤さんは「たばこは普段は吸わないため喫煙所を意識したことがなく、自分たちで理想の喫煙所のアイデアを出し合った後に実際に街に出てみると、実際にある喫煙所がイメージとは違うことに改めて気が付いた。マーケティングを学んだことがなかったため、今回マーケティングをしながらプロジェクトを進めたので、将来の就職への幅が広がったように思う」と話す。
石阪教授は「理系の学生は研究室で研究しているため、学年や文理が交差する機会が普段はないので貴重な経験になったはず。課題を解決するというプロセスは実際に社会で働く際にどの分野でも使える非常に重要なスキルとなる。大学内だけで社会に役立つ人材を育成するのは限界がある。地域と学生をつなげるきっかけにもなればとも思うので、今後とも地域の企業に協力いただけたら」と話す。