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埼玉大で女子中高生向け防災ワークショップ 地域を知り災害に備える

 「女子中高生のための防災ワークショップ」

 「女子中高生のための防災ワークショップ」

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 「女子中高生のための防災ワークショップ」が10月29日、埼玉大学(さいたま市桜区大字下大久保)で行われた。主催は埼玉大学ダイバーシティ推進センター。

大学生のファシリテーターを中心に活発に意見が飛び交う

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 同センターは、埼玉県全域を対象に県内の企業や学校と連携し、女子中高生に理工系の興味関心を喚起し、理工系進路選択をエンカレッジするプログラム「WISE-P(ワイセップ)」を提供している。大学教員による出前授業、サイエンス体験スクールやワークショップ、企業や大学ラボの訪問などを開くほか、保護者や教員からの理工系進路の相談も受け付ける。

 今回、初の文理融合型課題解決ワークショップとして「防災」をテーマに開催。中学1年生から高校2年生までの女子中高生10人が参加した。第1部では埼玉大学の教授が講義を行い、「関東平野の成り立ちを知ろう」「埼玉で起きた水害を知ろう」「過去の地震、これから起きる地震について」をテーマに話した。第2部では日本防災士会副理事長の大澤サユリさんを招き、災害時に起こることや必要な備えについて考えるワークショップを行った。

  講義では関東平野や河川の成り立ちを知り、過去の自然災害や災害が起こりやすい地域などを具体的に知ることで、生徒たちは当事者意識を持って学んだ。今後起こりうる地震による被害の想定、被害を減らすためのシステムなどについての講義も興味深い様子で聞いていた。

 ワークショップでは、「日頃の備え」「自宅に潜む危険」について考えを出し合い、まとめた結果をグループごとに発表した。「衛生用品や非常食など、1週間生活するための備え」「家具の固定」などが意見に上がった。ペットについての質問に、大澤さんは「ケージに入れなくてはならない時もある。普段からケージやリードに慣れさせるのも大事」と答えた。衛生面や精神面での不安など、避難所での女性ならではの課題についても多くの意見が上がった。第2部のコメンテーターを務めた小口千明准教授(地理学)は「学んだことを広めてほしい。人のために使える知識を持つ人を増やす教育も必要」と話す。

 参加した、さいたま市南区在住の中学1年の女子生徒は、災害について考えたことはなかったが、興味が沸き、参加することにした。意見を出し合うのが楽しかった」、桜区在住の中学3年・櫻井遥さんは「自分が小さい頃に起こった震災には遠いイメージがあったが、話し合いから身近に感じ、対策をしなければと思った」と話す。

 同センターの瀬山紀子准教授は「想像以上に具体的な意見が出ていた。前半の講義で考えるきっかけができたことや参加者の年齢が近いことも意見の出しやすさにつながったのかも」と振り返る。「今後もイベントを予定している。理系は難しいと苦手意識を持っている人も参加しやすい企画にすることで、女子中高生の視野を広げ、この先の進路を考える際の参考にしてもらえれば」と呼びかける。

 次回は12月16日、「サイエンス体験スクール」を開催する。

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