主にナイトワーカーのシングルマザーを対象にしたフードパントリーが10月4日、川口市で開催される。
フードパントリーはひとり親家庭や生活困窮者などを対象に食料を無料で配布する活動で、埼玉県内では県の支援を受け、活動が急速に拡大している。
同プロジェクト主催のフードパントリーは2020年5月に始まった。当初は15世帯の参加だったが、5回目の開催となった9月6日の開催では37世帯(大人=38人、子ども=76人)の参加があった。
夜職(よるしょく)で働くシングルマザーが自信と誇りを持ち、安心して働ける社会づくりの実現を目指して活動している同プロジェクト。「大切なのは彼女たちが自ら考え選択していける環境を整えること」と同プロジェクト代表の石川祐一さんは話す。シングルファーザーや夜職以外の生活困窮者もこのフードパントリーの支援対象だが、あえて「夜の世界で働くシングルマザー向けフードパントリー」としたのは、「彼女たちは行政との接点が薄く他人に相談や助けを求めることに及び腰の人が多いから」と話す。
ハピママメーカープロジェクトの活動がさまざまなメディアで紹介された反響で全国から問い合わせが増え、紙媒体の新聞への掲載によってお年寄り世帯の人にも認知が広まり寄付につながった。配布前の会場では手指の消毒と手袋をして感染症対策をしたボランティアの人たちが参加者ごとに番号を振った個別の段ボールに食材を詰め込んで準備した。祐一さんの妻の菜摘さんはボランティアの人たちに話し掛け、会場はみんなの笑顔と温かさに包まれていた。
祐一さんは元キャバクラ店で店長をしていた経験をもち、その後従業員として働いていた際に新型コロナウイルスの流行が拡大し、国の緊急事態宣言で店が休業してから、菜摘さんと何かできることは無いかと模索していたところ、縁あって川口こども食堂の佐藤匡史さんの協力を得、歓楽街のある西川口エリアをメインにこの活動をスタートした。
2時間かけて埼玉県比企郡吉見町から寄付に駆け付けた田中健治さんは新聞でこの活動を知り、地元仲間の協力で無農薬野菜や自然酵母のパンを届けた。「素晴らしい活動。偏見などに負けず頑張ってほしい」と話す。
劇団空白ゲノムの劇団員で千葉から来た三輪亮太さんと浦和から来た荒木美穂さんはボランティアに参加して2回目となる。三輪さんは「生活困窮者が対象だが、役者にも共通点があるのではと思った」という。「役者として仲間として、生活苦でエンターテインメント(関連のイベントなど)に行けない人の役に立ちたい」と思い立ちボランティアに参加したという。
自身も夜職で働いた平良美里さんは幼稚園に通う2児の母。平良さんは「困窮しながら悩みを一人で抱え込む人もいると思う。そういう人が気軽に相談でき、子どもの居場所にもなるような活動にしていきたい」と話す。
同プロジェクトでは夜職で働く女性たちの自助ネットワークを構築し、専門家を紹介するなど、セカンドキャリア支援や託児サービスにも活動の幅を広げていく予定。
開催時間は13時~15時。会場は埼玉県西川口エリア。参加申し込み及び食材などの寄付に関してはメールアドレスsupport@expressyourself.jpまたはライン@265houguで受け付けている。