北浦和のライブハウス「北浦和KYARA」(さいたま市浦和区北浦和3)が2020年1月31日で閉店する。
1998(平成10)年、浦和橋近くにオープンした同店。2014(平成26)年9月1日に旧店舗を閉店し、同11日に現店舗に移転した。
週末のほか、平日も週のうち2・3日は稼働し、「年1000組くらい出演してくれていた」と店長の安藤天佑さんは話す。「人に恵まれたライブハウスで、イベンター(ライブハウスを借りて、アーティストを呼びライブを開催する人)がイベントを行ってくれて、そのアーティストがここを気に入ってくれてまたライブを行ってくれるなど、好循環で回っていた」とも。
出演したことのあるアーティストでは北浦和結成のthe telephonesのほか、キュウソネコカミ、SUPER BEAVER、04 Limited Sazabys、ドミコなど「武道館クラスのアーティストに度々出演してもらっている」という。
一方で、地元や近隣の高校や大学の軽音部の「卒業ライブ」「伝統ライブ」の利用も多いという。安藤さんは「軽音部の人数が少なくなってしまいライブが難しくなった高校を、別の高校の軽音部が合同ライブを持ち掛けて一緒にやったりするのを見て来た。今回の閉店で、彼らの卒業ライブができなくなってしまったのが悔しい。3月末まで閉店を延長できないかあちこち奔走したが、いろいろな事情が重なり不可能だった」と無念をにじませる。
同店は1階がライブハウス、2階はダイニングカフェバー「Zagon Kitchen KYARA」として、DJブースも備え「音楽と世界の料理」を提供し、近隣の住民や会社員などが利用。ウエディングの2次会なども行っている。
安藤さんは「ライブハウスがにぎわえばにぎわうほど、2階が利用しにくい、という状況になっていた。とはいえ、ランチの利用は多かったし、夜も来てくれるお客さんもいたので、1階と2階の経営のバランスが問題だった」と話す。「いろいろと2階の運営にもアイデアがあったので、あと半年あれば盛り返す自信はあったが、閉店という結果になってしまった」とも。Zagon Kitchen KYARAは12月末日に閉店する。
閉店が決まってから2月以降にライブハウスを利用する予定だった人たちに連絡を取り、卒業ライブを予定していた人たちのために他のライブハウスに交渉するなど、対応に追われている。「誰一人怒らず温かい言葉を頂いている。アーティストの皆さんやお客さまには感謝でいっぱいだし、店を守れなかったという申し訳ない気持ちでもいっぱいだが、一方で、終わりに向かってどんな新しいことができるかものすごくワクワクしている」という。
「自分たちでできることを全力でして、皆さんにたくさんの思い出をつくってもらいたいし、そこで新しいことを始めるきっかけになれたらいい。気持ちよく終われば、必ず次につながる」と力を込める。
現在始まっている、もしくは予定している企画は、「#KYARAつぶれるってよwww」というハッシュタグでツイッターで思い出を残す企画、閉店するZagon Kitchenにあえて新しいPOPを作ってもらう企画、DJブース・アコースティックギターを自由に使えるようにして思い立ったらパーティーができるようにする企画など。ほかにも新しい企画やイベントを予定しているという。
安藤さんは「華々しく豪快に伝説的に前のめりにぶったおれる(閉店する)ために全力で明るく楽しみ、盛り上げていきたい。すでにKYARAを知っている人もこれから知る人でも興味を持ってもらいたいし、応援してほしい」と呼び掛ける。「移転の可能性も最後まで諦めてはいないし、駄目だったとしてもなんらかの形で活動は続けるので、終わりだとは思っていない」とも。
ライブのスケジュールはサイトで確認できる。Zagon Kitchen KYARAの営業時間は11時30分~翌1時。