埼玉大学(さいたま市桜区大久保)と日本たばこ産業(JT)の連携事業「課題解決型インターンシップ」の成果発表会が11月20日、同大で行われ、参加学生のほか大学関係者、企業・行政関係者らが出席した。
同大が社会で役立つ人材を育成しようと、2023年から実施している同取り組み。今年のテーマは「2027年にリニューアルオープン予定の所沢航空発祥記念館について、リニューアル後の来館者数を増やすための広報の方法を考える」もので、1~4年の学生24人が参加した。
全8回のプログラムで、学生はマーケティングや広報の授業のほか、グループに分かれ現地でフィールドワークを行い、課題解決に向けた仮説の構築と検証を重ねてきた。各グループにはJT埼玉支社の社員が1人ずつ担当者として付き、活動をサポートした。
最終回となるこの日、学生はテーマの依頼者である埼玉県に対し、グループごとにプレゼンテーションを行った。プレゼンでは、SNSを活用して記念館の知名度を向上させる案や、飛行機の機内食が食べられるレストランを設けて話題性を高める案などが示された。聴講した埼玉県の担当者らから「なぜこう考えたのか」と質問が出ると、学生はグループで議論した内容や提案に至った経緯などを説明した。
県都市整備部公園スタジアム課の遠井文大課長は「JTからの提案で、所沢航空発祥記念館のリニューアルについてテーマを出させてもらった。どの発表も興味深く、これから一つ一つ検討していきたい」と話す。
教育学部4年の櫻井翔天さんは「卒業までに教育以外のこともやってみたいと思い、今回の授業に参加した。実際に取り組んでみて、プロジェクトを組むことでさまざまなアイデアや工夫が生まれ、議論が充実することが分かった。これから社会に出て、この経験を生かしたい」と述べ、後輩には「一見専門外のことでも思わぬ発見や出会いがある。インターンに限らず、いろいろなことに挑戦してみては」と呼びかけた。
同大キャリアセンター長の石阪督規教授は「学生が地域のことを学び、地域社会が抱える問題を知る貴重な機会となった。リニューアル後の記念館がどのような形になるか見えない中で、広報戦略やPRを考えるのは難しかったと思うが、昨年の約2倍となる8回にわたり取り組んだこともあり、全体的にクオリティーが高く、どの発表も素晴らしかった。今回は1年生の参加も多く、これからの学びに生かしてほしい」と話す。