地域の夏の夜を彩るナイトマルシェが8月3日、荒川堤外地の「塚本郷バンブーベース」や薬師堂(桜区塚本)で開催された。主催は「塚本郷~RE農VATIONプロジェクト」。
「塚本郷」は、さいたま市の西端にある荒川堤外地(堤防の河川側)に位置する里山環境の残るエリア。同プロジェクトでは、田んぼや里山体験、竹林の有効活用やプチマルシェなどを通して地域再生に取り組んでいる。
今回、会場の一つとなった「薬師堂」では、以前は12年に一度、ご開帳に合わせて地域の人がみんな集まるような大きな祭りが行われていたが、2019年の台風で冠水し被害を受けたことや、周辺の住居がなくなってしまったことから、2022年の祭りは開催されず、以後、途絶えてしまった。同プロジェクトの安部さんは「存続が危ぶまれる薬師堂を含め、今一度、この場所の魅力や可能性を、地域の人、周辺の人も含めて認知してもらえる機会になればと思い、マルシェを企画した」と話す。
夕方に始まったマルシェには、キッチンカーとブース合わせて約20店が出店した。地元産の野菜や米、ハーブ、軽食やクラフトビール、自家焙煎(ばいせん)コーヒー、さいたま市各区のフォトブックを販売。他にワークショップ、ライブ、トークイベントなども行われ、子連れのファミリー層や、地元住民、近くの埼玉大学の留学生など、多くの来場者でにぎわった。
安部さんは「荒川の堤外地に、ポツンと残された里山であるこの地が存続の危機にあることを懸念し、今回のイベントを含め、農を中心とした地域を未来につなぐ、さまざまな活動を行っている。今回、地域の方もたくさん訪れてくださり、『また開催してほしい』という声も多くあったので、来年の開催も目指したい」と話す。
同地区で新規就農し、農園を営む木曽農園の木曽大原さんは「皆でつながりを作りながら地域の人たちでこの地域をデザインしていくことがすごく大事。農家だけで考えても広がらない。いろいろな人と一緒に考えていければいいのでは。(今回は)そのきっかけのイベントになり、いい機会になった。今後も続けていきたい」と意気込む。