食を通じて子育ての地域共助を推進する期間限定の実証実験「COやね(こやね)」が8月7日、「団地キッチン 田島」(さいたま市桜区田島6)で始まった。主催は独立行政法人都市再生機構(UR)。
同プロジェクトではさまざまな世代の地域住民が連携し、子育てを包括的に行う社会の実現を目指す。同社の大矢知真貴さんは「『一緒に』を意味する『CO』と、団地を一つの大きな『屋根』と捉えて家族のように集うイメージから『COやね』と名付けた」と話す。
実証実験では、大人・子ども各1人分の定食とサポーターによる子どもの見守りをセットにした「見守りごはん」(3,000円)を提供する。子どもの見守りには食事介助も含まれ、小学生以上の保護者は利用時間中に外出することができる(今後、送迎オプションも検討予定)。定食のみの利用も可能(大人1,000円、子ども600円、親子セット1,500円、テイクアウト可)。家庭料理を中心に、調理に一手間かかる総菜も視野に入れ、栄養バランスを考えたメニューを提供する予定だという。今後、シニア世代を中心に子どもに昔遊びなどを教える「あそびの達人」、自転車に乗ったまま食事を購入できる「チャリスルー』」のサービスも検討している。
8月4日に行われたオープニングイベントには親子連れを中心に、地域住民やプロジェクトの賛同者が参加した。内容説明と質疑応答の後、定食の試食会を行った。会場には飲食スペースのほか、おもちゃやボードゲームを用意したプレー・コーナーも開設。保護者が説明を受けている間、子どもたちは担当スタッフと遊んでいた。
2人の子どもと参加した市内在住の40代女性は「飲食店は近くにあるが、子どもが誰かに見守られながら自由に遊べる空間で食事できるのはありがたかった」と話していた。
今後の展望について、大矢知さんは「実証実験の結果次第だが、全国の団地でこの仕組みを適用し、場所を作るところから展開できればうれしい。次回はさらに多くの地域住民を巻き込めたら」と話す。
実施は水曜の16時~20時。10月30日まで。来年1~2月にも、同所での実証実験を予定している。