クラシックコンサート「かしまゆコンサート」が1月29日、浦和の老舗銭湯「鹿島湯」(さいたま市南区別所3)で行われた。
ソプラノ歌手の福島聡子さんが主催し、クラシックギターの久保田耕生さん、パーカッションのMINTA(森本ミホ)さん、、ピアノの山口景子さんをゲストに迎え、2018(平成30)年4月から開いている同コンサート。2~3カ月に1回行ってきたがコロナ禍で3年近く休止しており、昨年9月、4回シリーズで復活した。
会場となる鹿島湯は1956(昭和31)年12月創業、現在は3代目となる坂下三浩さんが店主を務める。定期的に描き直す必要がある銭湯内の絵を「ライブペイント」でイベントとした際に「銭湯の新しい使い方」に気が付いたという。以来、かしまゆコンサートやヨガ教室、コロナ禍に公民館などが使えなかったときに地域の会合の場として提供しているという。坂下さんは「有効活用してもらえてありがたい。敷居が高いこともある銭湯に来たことがない人が来てくれるきっかけになることもある」と話す。
大阪音楽大学を卒業後、音楽教師を経て家族の都合で渡米し、アメリカで演奏活動をしていたこともある福島さんは、南区で歌声教室などを開いている(現在はコロナ禍で休止中)。「歌をきっかけに皆が集える場所を作りたい。コーラスは敷居が高いかもしれないが、皆でちょっと歌ってみる機会があればと参加してもらえるのでは、と思っていた。鹿島湯のライブペイントのイベントに来たとき、天井の高さ、建物の美しさに『ここで歌いたい』と思い、コンサートを開かせてほしいとお願いしたところ快諾してもらった」と話す。
コンサートは福島さんとギター、パーカッション、またはピアノの組み合わせで行い、この日はパーカッションのMINTAさんが出演した。参加者は福島さんの歌声を聴くだけでなく、一緒に歌ったり、手拍子をしたり、休憩中はパーカッションの楽器を見たり、奏者に質問したりと自由な雰囲気で行われた。
浦和区在住の吉田春子さんは「ツイッターで見て初めて来た。ソプラノとパーカッションがとても合いすてきだった。またぜひ来たい」、上尾市在住の長井武明さんは「昨年2回見て、すっかりファンになり今回も足を運んだ。ライブが好きであちこち行くが、銭湯でのコンサートはアットホームで楽しい。これからも楽しみにしてる」と笑顔で話していた。何回か同コンサートの受付を手伝っているという羽鳥典子さんは今回、4年生・2年生の子どもと参加。「客として聴くのも新鮮で、何でも楽器にしてしまうパーカッションが面白かった。昼開催で子どもに見せられて良かった」とほほ笑む。
普段は大学などでの特別講義の講師やフリーランスの打楽器奏者としてバンド活動をしているMINTAさんは「自作のドラム缶楽器や海外の土産店さんで買った木の実の飾り、アルコールの瓶など、何でも楽器にできるのがパーカッション。楽しんでもらえたら」と話す。
次回開催は春頃を予定している。福島さんは「コロナの様子も見ながら企画していきたい。緩く開催しているので、気軽に参加してもらえたら」と呼びかける。