老舗酒販店「マツザキ」が浦和パルコ(さいたま市浦和区東高砂町)にオープンして1カ月がたった。
創業135年になる同店。川越市内に本社と支店を構え、自社の蒸留所も所有している。川越市外への出店は初めてとなる同店内には日本酒とワインを常時300種類そろえるほか、クラフトビール、焼酎、ウイスキーなどの和洋酒を取りそろえる。元バーテンダーや日本酒、ワイン、チーズのソムリエ資格を持つ店員が常駐し、客の要望に応えられるように努めているという。
専務の松崎裕大さんも日本酒とワインのアドバイザーの資格を持ち、国内の日本酒蔵元とワイナリーで3年間、修業をしたことがあるという。全店に並ぶ商品のほぼ全てを試飲し、日本酒だけでも年間500種類は自分の舌で確かめるという。日本酒の品ぞろえには「自信がある」と言い、取引が困難であるとされる蔵元から仕入れることもあるという。
「家族連れや映画館来場者など、酒を買う目的以外のお客さまにもマツザキを知ってほしい」と、路面店ではなく、あえて商業施設内への出店を決めたという。松崎さんは「浦和駅周辺は多種多彩な飲食店が多く、酒文化を楽しむ人がたくさんいるので非常に良い感触を得ている」と笑顔を見せる。「さいたま市は環境教育への意識も高いのでマツザキが理念として掲げる環境保全活動にも多くの方に関心をもってもらえると思った。川越にある自社の里山へ気軽に遊びに来てもらえるようイベントなどを通じて(店を)紹介していきたい」とも。
同社では自社製のクラフトジン「棘玉(とげだま)」の製造販売も行う。社員と開墾した自社の畑でジンの香りの素となる香草のジュニパーベリー(西洋ネズ)を栽培し、蒸留・製造している。「針葉樹であるジュニパーベリーはとげとげしい葉の合間に小粒の実がなることから『棘玉』と名付けた。浦和店にも置いているのでジンが好きな方にはぜひ試してみてほしい」
松崎さんは「近年は若者の酒離れともいわれているので、誰もが入りやすい雰囲気づくりを大切にしたい。日本酒を好まない人でも、マツザキに来れば新たな発見があり、お酒全般に関心を持ってもらえるように努力していきたい」と意気込む。今後、店内の商品を購入前に試飲できたり、元バーテンダーの店員がカクテルを提供したりする「テイスティング・カウンター」も設ける予定だという。
営業時間は10時~21時。