さいたま市桜区のしびらき通り商店街に障がい者就労支援の「Hito-tsuひとつながるカフェ(さいたま市桜区新開1)」がオープンして3カ月がたった。運営は社会福祉法人邑元会。
同会は、障害者の就労や自立を支援する目的にパン店や農園を開き、すでに障害者が働いている。新たな就労の場として7月17日にカフェをオープンした。
広い窓からは日が差し込み、青々とした観葉植物を照らす。地域住民が昼食に訪れ、市民団体の活動の場にもなっている。施設長の相浦卓也さんは「施設利用者が地域住民と接する機会はほとんどない。カフェを通じて多くの人とコミュニケーションを図りながら、就労支援にもつなげられたら。お客さまには、就労支援だからと来てもらうのではなく『おいしい料理と居心地の良さ』を目当てに来てくれたら」と話す。施設利用者の女性2人が採用され、掃除や食器洗いなどで働いている。
カフェを任されたのは鈴木利江子さん。17年間、放課後児童クラブの職員で障害児にも関わり、カフェ勤務の経験もある。鈴木さんは「和食の基本の一汁一菜。メニューは週替わりでおにぎりに具だくさんの汁物、季節の煮物やあえ物などの総菜を組み合わせる。食材はできるだけ施設の農園で採れた野菜を使う。最近は肉厚でおいしいシイタケが収穫できるようになった。来てくださった方に喜んでもらえるような料理を提供したい」と話す。落ち着いた口調に柔和な笑顔で周りに指示を出す鈴木さん。「就労する大変さも楽しさも教えながら、地域住民の拠点になるようなカフェを作っていきたい」と話す。