スーパーマーケット「いなげや」浦和中尾店(さいたま市浦和区大字中尾)が11月27日に閉店する。
「いなげや」は首都圏に展開するスーパーマーケットで、同店は2008年に出店。歯科医院、美容室、大型家具店が入ったショッピングモールの1階にあり、産業道路に面し、駐車台数300台以上の広さで便利なスーパーマーケットとして利用されていた。
生鮮食品や酒類、調理道具、下着、タオルなど品ぞろえは豊富で、総菜を調理加工する様子は窓ガラス越しに見られる。店内は明るく、カートやベビーカーを不自由なく利用できる広さ。スタッフの名札は大きく平仮名で手書きされている。食品売り場には、野菜の効能やレシピ、季節の行事の由来を絵と写真を入れて説明するなど販売への工夫も。長年勤務するスタッフが多く、高齢者や体の不自由な人を気遣う姿も見られ、近隣住民から親しまれていた。
出店から8年の今年10月に閉店を発表。長年利用しているという50代の主婦は「品物がどこにあるか分かるほど、冷蔵庫代わりに来ていたので残念。お気に入りの商品もあった。これからどうしよう」と肩を落とす。
入社時から同店で勤務する土屋さと子さんは「浦和のお客さまに育てていただいた。寂しいが、次は後輩を育てる立場になって力を発揮したい」と話す。オープン当初から勤務する藤原久美子さんは閉店を機に25年間務めた「いなげや」を退社する。「明るく笑顔で接客することを心掛けていた。いなげやが大好きだった。顔なじみのお客さまと会えなくなるのが寂しい」と話す。
店長の日野有二さんは「約70人のスタッフは仲が良く、いつもお客さまに喜んでもらえることを考えている。常連の方は生活リズムも変わってしまうのでは。大変に申し訳ない気持ち」とうつむく。それでもスタッフは笑顔で「いらっしゃませ」と声を掛け、商品を並べていた。
営業時間は9時~21時。27日は18時に閉店する。