中山道沿い、調神社に程近い所にある靴店「MBTウォーキングスタジオ」(さいたま市浦和区岸町7、TEL 048-830-0276)で3月17日~21日、岡崎詩をりさんによるインスタレーション作品の展示が行われた。
9月に開催される「さいたまトリエンナーレ2016」のパートナーシップ事業として行われた企画展「美術と街巡り・浦和」の一環。旧中山道沿いの建築物や街中に作品を展示し、アートを身近な存在として紹介した。
岡崎さんは東京造形大学出身で、2015年に行われた群馬県の中之条ビエンナーレなどにも参加している。
今回展示したのはキャンパスに羊毛を編み込み、北アルプスをイメージした山をかたどった作品2点のほか、ショップのウインドーいっぱいに使った空間で羊毛によって山をかたどった作品、キャンパスにアクリル素材を使って立体感を強調した作品の計4点。
岡崎さんの作品全体における大きなテーマは「山」。実際に登山し撮影した写真を基に、山を形作っている。「登った山の雰囲気を追体験してもらいたい」という狙いで立体的な表現を行い、羊毛作品の材料は自身で紡いだ羊毛を使い山脈を描く。「羊毛の柔らかさや、どこでも展示ができる可変性などが自分に合うと思う」と岡崎さん。
「インスタレーションという手法で作品を表現しているが、絵画の延長と考えている。ただ平面の四角形の中だけで表現することを飛び越え、キャンパスから線を出し空間へはみ出していく様子を表現してみたかった」とも。
キャンパスに羊毛を編み込んだ作品では、北アルプスの山肌、雪化粧の様子や光の当たった部分を明るいピンクで表現。何重にも編みこまれた羊毛によって、立体感を演出している。
ウインドーの展示作品では打って変わって羊毛を空間にはわせた編みこみで山を表現。チームでの登山の経験から、作品中には人物も登場している。
岡崎さんは「身近になかった山を新鮮に感じ、作品の対象として選んでいる。泰然といつまでも変わらない姿を保ち続ける姿にも魅力を感じている。これからも山を表現し続けていく中で、さまざまな表現方法を広げていきたい」と意欲を語る。