さいたまの民話絵本を作る市民サークル「領家手づくり絵本の会」の50周年記念展が3月24日から、埼玉県立近代美術館(さいたま市浦和区常盤9)地下1階の一般展示室で開かれる。
「領家手づくり絵本の会」富山県知事賞を受賞した、しかけ絵本「長伝寺の竜」
毎週金曜、領家公民館(浦和区)で絵本の創作や勉強会などを行う同会。1976(昭和51)年、浦和市教育委員会と領家公民館主催で開いた「託児付き手作り絵本教室」を受講した主婦たち14人で立ち上げた。当初は、子どもの成長記録や心に残ったエピソードを、絵本作家の曽我貞子さんらの助言を受けながら絵本にする活動に取り組んでいたという。
さいたまの民話を元にした版画絵本を作り始めたのは1983(昭和58)年。立ち上げ時から参加する長井喜代子さんは「会の7周年記念誌を作った時、みんなで一緒に作る楽しさに気づいた。個人の創作ではなく、合作絵本を作ってみようと活動を変えてみたら、楽しくて…」と振り返る。
絵本の題材は、「竜の門(国昌寺)」「鴻沼のおしどり(円能寺)」など見沼田んぼ周辺の民話や伝承。市史から選んで現地を取材し、仲間で話し合いながら文章を作成する。児童文学者の宮田正治さん、絵本作家の吉本宗さん、版画家の安本秀をさんに習いながら、一人一人が担当場面の下絵から版画まで制作し、それぞれの作品を合わせて一冊の絵本を完成させる。
1996(平成XX)年からは版画絵本を元にした「しかけ絵本」も制作。2017(平成29)年には、しかけ絵本作品「長伝寺(ちょうでんじ)の竜」が「おおしま国際手づくり絵本コンクール富山県知事賞」を受賞するなど、作品のクオリティーの高さも認められている。近年はさいたま市立図書館と連携し、作品を元にした読み聞かせ動画も制作・公開している。
会員の宮坂真美(まさみ)さんは2013(平成25)年から、小学校からの依頼で絵本の読み聞かせを行っている。「小学2年生が『町探検』で長伝寺に行く前に、民話絵本『長伝寺の竜』を読み聞かせている。身近な寺院の話なので子どもたちも興味をもって聞いてくれる」と話す。
同展では、新旧会員の個人作品と合作作品を合わせて約200点を展示。併せて、会の50年を振り返るパネルや版木なども展示する。会代表の行田啓子さんは「民話の世界を取材することは、ふるさとの豊かな自然や先人の知恵を発見する貴重な経験になった。完成した合作絵本は、仲間で一緒に作ったからこそできた作品。多くの方に見てもらえるとうれしい」と話す。
開催時間は10時~17時(最終日は15時まで)。入館無料。今月29日まで。