さいたま市桜区で収穫された黒米を使った初の加工食品「発酵甘酒・玄美滴(げんびてき)-黒-」が12月2日、ビジネス展示会「第18回農と食の展示・商談会」(さいたま市中央区新都心)で披露され、同時に販売が始まった。
開発したのは、桜区を拠点に活動する地域再生プロジェクト「塚本郷Re農vation(リノウベーション)」。奈良時代から稲作が続く塚本郷の水田や生態系を守ることを目的としており、手作業で管理できる規模の水田や竹林の整備、水塚(みづか)周辺の環境改善などを実施している。こうした取り組みを通じ、農の営みや原風景を「体験価値(コト)」として生かし、地域の魅力を未来へ引き継ぐ活動を進めている。
同商品は塚本郷産の古代米・黒米を使った発酵甘酒で、米とこうじのみで仕上げ、砂糖は使っていない。ポリフェノールや食物繊維を含む。商品開発・販売を手がける安部邦昭さんは「自然な甘みから、『まるで飲むおはぎのような味わい』に仕上げた」と話す。
商品は、パウチ(180グラム、500円)と瓶(770グラム、1,700円)の2種類を展開。名称やラベル、キャッチコピーは大宮国際中等教育学校の生徒と共同で制作した。
安部さんは「昔から甘酒が好きで、東京都内の最後の酒蔵だった赤羽の『小山酒造』で飲んだ発酵甘酒のおいしさが忘れられなかった。プロジェクトを継続させるために加工品を考える中で、黒米を炊いたときに赤飯のような甘みがあることに気づき、商品化のヒントになった」と話す。
「甘酒が好きな人はもちろん、苦手な人でも飲みやすいと好評で、そのまま飲むだけでなく、牛乳や豆乳で割って楽しむこともできる。粒の食感を生かして、ドレッシング作りにも使える。まだ可能性があるので、多くの人に飲んでもらい、アイデアをもらえれば」とも。
現在、「さんかくカフェ」(浦和区領家)、「ひとつながるカフェ」(桜区新開)、「THE LJ(ザエルジェー)」(桜区町谷)で扱う。