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北浦和・県立近代美術館で「障害者アート展」 130人600作品展示

バス内部も精巧に作られている

バス内部も精巧に作られている

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 第16回埼玉県障害者アート企画展「Coming Art 2025」が現在、埼玉県立近代美術館(さいたま市浦和区常盤9)で開催されている。主催は埼玉県障害者アートネットワーク「TAMAP±〇(タマップ・プラマイゼロ)」と社会福祉法人「みぬま福祉会」。

樹脂粘土で作られたなお丸さんの「モンスターバースシリーズ」

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 一般的な公募展とは異なり、埼玉県が実施する「障害のある方の表現活動状況調査」に集まった調査票から、行政・福祉・美術・教育などの専門家約50人が選考した作品を展示する同企画。2009(平成21)年に始まり、2016(平成28)年からはアートセンター集(川口市木曽呂)が主体となり、官民連携で開催している。

 16回目となる今回は、社会的に注目を集める作家の新作から「これはアートか」という表現まで、小学生~80代の作家130人による600点以上の絵画や立体造形などを展示する。

 2日に行われたオープニングセレモニーでは、出展作家らがテープカットを行った。その後、同展監修の中津川浩章さんや作家、福祉施設職員らがギャラリートークを行い、多くの来館者と共に会場を巡った。

 幼少期からバスが好きだったという「もや師匠」さんは今回が初めての出展。主にコピー用紙で制作した路線バスの模型「The Craft Bus Collection」を展示している。注力した点について、もや師匠さんは「ドアが開け閉めできること。リアルに再現したいと思い研究を重ね、スライドできるドアを作った」と話す。

 加部綾子さんは、布や布巾、シャツに施した刺しゅう作品「ゆかいな仲間たち」を出展。施設職員は「きっかけは、施設の作業班(ベーカリー班)で使う台布巾に刺しゅうをしたことから。本から着想を得てモチーフを決めることもある」と紹介する。中津川さんは「粘り強く取り組めているのは、職員の方の働きかけによって自分の世界に集中できているからでは」と話す。

 13年間同展に関わっている中津川さんは「当展の作品は、障害がある人の才能や努力だけで成り立っているのではなく、施設職員と作家との関わりの中から生まれている。一人の才能が歓迎されがちだが、現場の創意工夫や努力が重なり、その重なり方が作品に表れている。ただ作品として消費されるのではなく、背景や関わりも含めてみると物語があり、表現の裏にはこうした世界がある。その作家の背景を通して作品を理解することは、障害特性への興味にもつながり、福祉の中でも大きな意味を持つと思う。多くの方に来てもらえれば」と呼びかける。

 4日・5日には、出展作家や支援者が作品への思いを語るアーティストトークを行う。6日には、視覚に障害のある人とない人がグループになり、会話や一部触って展示作品を鑑賞する「ことばでみる鑑賞ツアー」を行う(定員5人、応募者多数の場合は抽選)。

 開館時間は10時~17時。入館無料。12月7日まで。

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