(左から)サポーターの矢ヶ崎さん、植森さん、小泉さん、横田さん、温盛さん
「私たちはどこから来たのか?どこに行くのか?~さいたま国際芸術祭の未来を考えるシンポジウム~」が2月28日、「GAFU-gallery&space-」(さいたま市南区別所3)で開催された。主催は、科学研究費助成事業「共創社会を導くアートボランティアの文化政策の構築」の研究代表者・藤原旅人さん。サポーター交流イベント実行委員会が共催した。

(左から)2023年のディレクターを務めた現代アートチーム目の増井宏文さん、荒神明香さん、南川憲二さん
2016(平成28)年の「さいたまトリエンナーレ」を皮切りに、2020年、2023年と回を重ねてきた「さいたま国際芸術祭」は、「共につくる、参加する」をコンセプトに掲げる市民参加型の芸術祭。

(左から)歴代のディレクター芹沢高志さん(2016)、遠山昇司さん(2020)、現代アートチーム目の3人(2023)
第 1 部では、歴代ディレクターを務めた芹沢高志さん(2016年)、遠山昇司さん(2020年)、現代アートチーム目(2023年)の荒神明香さん、南川憲二さん、増井宏文さんが登壇。芹沢さんは「2016年当時はソフトアーバニズム(やわらかな都市計画)の必要性を感じ、長期的な『種まき』ができればと考えていた。そのためには市民との関わりが重要。芸術祭は、ひとときの『幻』であっても、関わった人々の人生を変える力になりうる」と振り返る。

これまでの思い出とこれからの夢が寄せられた2036年までのタイムライン(年表)
遠山さんは「2020年のコロナ禍の際、サポーター同士が安否確認を行うなど非常時のインフラとしてコミュニティーが機能していた。生活都市における芸術祭の継承を念頭に、誰もが接続しやすい『花』をテーマに選んだ。テーブルの上に花があると幸せを感じる。下を向いていた人々の顔が少しでも上を向くきっかけになれればと願っていた」と当時を懐かしんだ。

主催の藤原旅人さん
南川さんは、「『わたしたち』というテーマや会場のディレクションを通して、『自己批評』という着眼点があった。」と振り返り、荒神さんは「私とあなたの間にある世界をどう考えるかという姿勢を、さいたまのサポーターに感じた」と語った。これを受け、主催者の藤原さんは2023年の芸術祭について「否が応でも自分と向き合わざるを得ない会場だった」と分析した。

さいたま国際芸術祭関連のTシャツ
第2部では、5人のサポーターが活動について発表。参加のきっかけはそれぞれだが、活動を通じて人生が変化したというエピソードが披露された。横田真理さんは、幼少期のトラウマから美術に苦手意識があったが「サポーター活動で自己表現ができるようになった。現在は親から受け継いだ土地にギャラリーを開設しようと奔走している」と明かした。植森侑子さんは「アートの土壌は育ってきたが、市民への周知がまだ足りない」と今後の課題を挙げた。

サポーターの伊藤奈津子さんから歴代のディレクターにお礼の手紙が渡された
香川県職員で、「アート芸術祭研究家」として全国のサポーター活動に精通する後藤努さんは「さいたまのサポーターは人材と関係性が素晴らしい。ここまで自由に活動しているのは他にない」と評価。遠山さんは「さいたまのサポーターは『野放しにされている感じ』が良い。これからも好きに生き、継続してほしい」とエールを送った。

サポーターを取りまとめる矢ヶ崎健治さん サポーターとアーティストをつなぐ橋渡しになりたい
次回「さいたま国際芸術祭2027」は、2027年10月~12月に開催予定。新しい「市民会館うらわ」の開館に合わせ、浦和駅周辺エリアをメイン会場とする。プロデューサーに再任した芹沢さんは「日常に散らばる未来のかけらを、市民一人一人が発見して伸びていってほしい。10年がたち、こうした集まりを市民自ら立ち上げていることに感無量。最初にまいた種が育っている実感がある」と笑顔を見せた。

香川県から駆け付けた「アート芸術祭研究家」の後藤努さん(右)と「アート洗い」の鈴木知佐子さん

キャンバス(画布)工場をリノベーションした会場のGAFU-gallery & space-